銚子電気鉄道線
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銚子電気鉄道線 | |||
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郊外の畑の中を走るデハ1000形電車 | |||
基本情報 | |||
国 | 日本 | ||
所在地 | 千葉県銚子市 | ||
起点 | 銚子駅 | ||
終点 | 外川駅 | ||
駅数 | 10駅 | ||
路線記号 | CD | ||
開業 | 1923年7月5日 | ||
所有者 | 銚子電気鉄道 | ||
運営者 | 銚子電気鉄道 | ||
使用車両 | 車両の節を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 6.4 km | ||
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) | ||
線路数 | 単線 | ||
電化方式 |
直流600 V 架空電車線方式(直接吊架式) | ||
閉塞方式 |
自動閉塞式(銚子 - 仲ノ町間) 票券閉塞式(仲ノ町 - 笠上黒生間) スタフ閉塞式(笠上黒生 - 外川間) | ||
最高速度 | 40 km/h (25 mph)[1] | ||
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路線データ
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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- 路線距離(営業キロ):6.4km
- 軌間:1,067mm
- 駅数:10駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(直流600V 架空電車線方式(直接吊架式))
- 閉塞方式:自動閉塞式(銚子 - 仲ノ町間)、票券閉塞式(仲ノ町 - 笠上黒生間)、スタフ閉塞式(笠上黒生 - 外川間)
- 最高速度:40km/h[1]
- IC乗車カード対応区間:なし
歴史
- 1913年(大正2年)12月28日 - 地元の有志などによって設立された銚子遊覧鉄道の手により、銚子 - 犬吠間が開業(1067mm軌間・蒸気動力)。
- 1917年(大正6年)11月21日 - 経営が赤字続きであり、また第一次世界大戦が勃発して鉄の価格が高騰したことから、銚子遊覧鉄道線としては開業わずか4年目にして廃止となり、レールは鉄材として売却された。
- 1918年(大正7年)7月15日 - 銚子遊覧鉄道の廃線跡が、地元の旅館送迎バス専用道路となる。
- 1923年(大正12年)7月5日 - 銚子遊覧鉄道の設立構成員によって再び設立された銚子鉄道が、銚子遊覧鉄道の廃線跡を転用し、銚子 - 犬吠 - 外川間を開業させる(1067mm軌間・非電化、外川まで延長したのは漁港があったため)。
- 1925年(大正14年)7月1日 - 直流600Vで電化。笠上黒生駅開業。増資75000円を伊那電気鉄道が引受け筆頭株主となる[3]。
- 1931年(昭和6年)6月21日 - 君ヶ浜駅開業。
- 1935年(昭和10年)8月14日 - 灯台前駅開業。
- 1942年(昭和17年) - 灯台前 - 外川間の犬吠駅廃止。灯台前駅を犬吠駅に改称。
- 1945年(昭和20年)
- 1946年(昭和21年)
- 1948年(昭和23年)8月20日 - 企業再建整備法により銚子電気鉄道(資本金100万円)を設立し資産を譲渡。銚子鉄道は解散[5]。
- 1955年(昭和30年)4月17日 - 国鉄より乗り入れの毎休日運転の快速列車「房総の休日」号(新宿 - 外川間)運転開始(1960年10月末まで)。
- 1965年(昭和40年)1月6日 - 夜に変電所故障(電動発電機の故障[4])が発生し1か月間運休。2月6日始発から運行再開。
- 1970年(昭和45年)3月1日 - 西海鹿島駅開業。
- 1984年(昭和59年)2月1日 - 国鉄貨物輸送削減のあおりを受け貨物営業廃止。
- 1990年(平成2年) - この頃より銚子駅待合室、観音駅、君ヶ浜駅、犬吠駅の洋風駅への改築や、車両の塗装変更による、観光路線への転換などを行う「ユネスコ構想」が推進される[6]。ゴリラを模したアル・カッポレというマスコットキャラクターが設定され、職員の着用する上着の胸章や銚子駅の待合室等に描かれた(その後制服改訂や改築により消滅)。
- 1995年(平成7年)
- 2010年(平成22年)
- 2012年(平成24年)12月20日 - 観音駅付近踏切内で軽自動車と電車の衝突事故が発生。乗員・乗客に怪我は無し[7]。
- 2013年(平成25年)11月21日 - ダイヤ改正により33往復/日から21往復/日に減便。このダイヤ改正により外川発仲ノ町行きが消滅。
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)12月1日 - ネーミングライツによる駅名愛称の運用開始[9][10]。
運行形態
全列車が各駅停車で、ほぼ全列車が銚子 - 外川間の運転である。2010年3月13日のダイヤ改正より早朝と下り終電をのぞいて1時間につき2本・30分間隔のパターンダイヤとなっていたが、同年12月4日のダイヤ改正により、本数はそのままで不均等な間隔(おおむね1時間あたり2 -3本)で運行されていた。2013年11月21日のダイヤ改正により、朝夕ラッシュ以外は1時間に1本(下りは12時台は電車無し)になり、笠上黒生駅での列車交換も、11時台から16時台までの間と19時台以降は行われなくなった。仲ノ町駅に車庫がある関係で朝6時台に仲ノ町発外川行き、夜20時台に外川発仲ノ町行きの区間列車が設定されていたが、20時台の外川発仲ノ町行きは2013年11月21日のダイヤ改正で消滅した。
ワンマン運転を行っているが、銚子 - 笠上黒生間では運賃収受のために車掌が乗務することが多い。また、規模の割に駅員配置駅も比較的多いため、ワンマン運転を行っている他の鉄道路線に比べると運賃箱を使用した運賃収受は少ないといえる。
4月下旬 - 10月上旬の日曜・祝日には、国鉄ワム80000形貨車を改造したオープンデッキ車両(ユ101)を用いたトロッコ列車「澪つくし」号が、1日1往復運行されていた。電車牽引で運転されるため、外川駅では機回しが行われていたが、銚子駅ではそれができないため、その手前の仲ノ町駅で列車最後部に回送車両を1両増結し、銚子駅で客扱いを行った後、今度は銚子駅へ来るとき最前部であった車両を回送車とし、仲ノ町駅で切り離していた。名称は銚子市を舞台に1985年に放送されたNHK朝の連続テレビ小説の『澪つくし』にちなむ。2007年以降はトロッコ車両の安全面の問題から運行されなくなり、その後トロッコ車両は老朽化のため除籍されている。
また、毎年1月1日にJR東日本が初日の出見物客を対象に臨時特急「犬吠初日の出」号や快速「銚子初日の出号」を東京・成田方面から銚子駅まで運転しているが、銚子電気鉄道ではそれに合わせ、犬吠埼へ向かう客のために大晦日の終電の繰り下げ・初電の繰り上げ・朝時間帯の犬吠駅 - 外川駅間運休を伴う特別ダイヤを組んでいる。以前は終夜運転を行っていた。
なお、銚子以外の各駅にはコカ・コーラ(コカ・コーライーストジャパン)の自動販売機が設置されており、自動販売機に設置されている電光掲示板で電車の運行状況を表示している。
社長の竹本勝紀は動力車操縦者(甲種電気車運転免許)の免許を2016年に取得しており、週2回のシフトで運転の業務に就いている[11][12]。
1955年には国鉄総武本線・成田線経由で新宿駅から直通する「房総の休日号」が運転され、銚子電鉄線内は仲ノ町、笠上黒生、犬吠、外川に停車した。国鉄側が非電化だったことからキハ17形気動車が使われていた。
国鉄との直通運転は、小中学生向け団体臨時列車「自然科学」がキハ20形気動車で運転された際に、観音駅構内のカーブで接触し途中で運転打ち切りとなったのを契機に1960年に取りやめとなった[注釈 1]。
注釈
- ^ 「鉄道ピクトリアル」2009年9月号によると、前述の「房総の休日」と「自然科学」はいずれもキハ17系・キハ20系の2連から4連で運転されており、全車がキハ17系で組成された4連はもちろんのこと、キハ17系にキハ20系を1両連結した編成は問題なく観音駅構内のカーブを通過できていたという。しかし、全車がキハ20系で組成された編成(両数は不明)が接触事故を起こした。なお、問題となった観音駅構内のカーブは後年改良されている。
- ^ a b デハ800形は伊予鉄道での800系導入による置き換えで譲渡された経緯がある。
- ^ 同社への譲渡車については日立電鉄2000形電車を参照。
- ^ この方式は、鹿児島交通枕崎線で運行されていたキハ100形でも見られたほか、銚子電鉄では1980年代までこの方式で運転されていたことがあった。
- ^ 22000系が導入された際に牽引しているのが確認されている。
- ^ 旧車号について、運転一周年を記念して発売された記念乗車券の裏側と、鉄道友の会の会誌「RAILFAN」の2010年6月号には「ワム183983」と記されている。
出典
- ^ a b 鉄道事故調査報告書 (PDF) - 運輸安全委員会
- ^ 電車内の案内放送と案内表示板のリニューアルについて - 銚子電気鉄道、2019年2月12日閲覧
- ^ 『岬へ行く電車』61-62頁
- ^ a b 『ちばの鉄道一世紀』(p199)
- ^ 小川功「京成グループの系譜」『鉄道ピクトリアル』No.632、118頁
- ^ “今年創立70周年の銚子電気鉄道 “ユネスコ構想”着々と”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1992年6月8日)
- ^ TBSニュース 銚子電鉄踏切で衝突事故、2人大けが
- ^ 銚子電鉄:電車が脱線、乗客けがなし…笠上黒生駅 - 毎日新聞、2014年01月11日
- ^ 『銚子電鉄のネーミングライツによる駅名愛称の運用スタート』(プレスリリース)銚子電気鉄道、2015年12月1日 。2015年12月6日閲覧。
- ^ “駅名「かみのけくろはえ」 銚子電鉄が7駅で愛称”. 毎日新聞. (2015年12月3日) 2015年12月6日閲覧。
- ^ 銚電社長が免許取得 運転士“兼任”に意欲 お客さまと接点を 社員の業務緩和も - 千葉日報(千葉日報社)、2016年8月11日閲覧
- ^ 銚子電鉄社長、次の企みは「経営がまずい棒」自虐ネタで集客「苦しい時こそ笑いを」「銚子のシンボル存続させたい」 - 税理士ドットコム、2018年6月16日閲覧
- ^ “銚電ネーミングライツ”. 銚子電気鉄道 (2021年2月12日). 2023年8月28日閲覧。
- ^ “鉄道旅客運賃の変更認可および改定について”. 銚子電気鉄道 (2019年9月27日). 2019年10月8日閲覧。
- ^ “07年度 銚子電気鉄道 安全報告書”. 銚子電気鉄道. 2009年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月13日閲覧。
- ^ 車両支援オーナー募集と車両愛称命名権売却要旨 2009年7月4日 銚子電気鉄道ホームページ
- ^ “銚子電鉄デハ2001が菱形パンタグラフに戻る”. railf.jp. 交通新聞社 (2018年9月16日). 2024年5月26日閲覧。
- ^ 【銚子電鉄】2001編成重要部検査施行 - 鉄道ホビダス RMニュース、2017年12月29日
- ^ 【銚子電気鉄道】デハ2001 塗装変更 - 鉄道ホビダス RMニュース、2018年12月19日
- ^ 【銚子電気鉄道】2002編成一部復刻カラーで登場 - 鉄道ホビダス RMニュース、2013年9月24日
- ^ a b 銚子電鉄の脱線車両、1年3カぶり復帰 支援の銚子商生徒ら乗車 千葉 - 産経ニュース、2015年4月5日
- ^ 銚子電気鉄道2000形2002編成が試運転 - 鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース、2015年3月19日
- ^ 銚子電気鉄道2002編成の運転再開 - 鉄道ファン・railf.jp 鉄道ニュース、2015年4月5日
- ^ 『「金太郎ホーム号・大正ロマン電車」出発式について』(プレスリリース)銚子電気鉄道、2018年7月22日 。2023年7月9日閲覧。
- ^ 『「金太郎ホーム号 大正ロマン電車」の運行再開について』(プレスリリース)銚子電気鉄道、2018年7月22日 。2023年7月9日閲覧。
- ^ a b “おおっ!! 銚子電鉄に「ロマンスシート」誕生 99年目にして初”. 乗りものニュース (2022年11月11日). 2022年11月13日閲覧。
- ^ “銚子電鉄“再びピンチ” 救ったのはローカル鉄道“同士の絆”…開業100周年コラボも”. テレ朝news. テレビ朝日 (2022年12月23日). 2023年2月18日閲覧。
- ^ 銚子電気鉄道 笠上黒生、鉄道ホビダス、2024年3月19日。同年同月26日閲覧。
- ^ a b “銚子電鉄22000形(もと南海2200系),3月29日から営業運転を開始”. 交通新聞社. (2024年3月26日) 2024年5月26日閲覧。
- ^ a b “南海の名車がデビュー時の形式・カラーでいよいよ千葉に復活 銚電が新型車両「22000形」出発式(千葉県銚子市)【レポート】”. 鉄道チャンネル. (2024年3月10日) 2024年3月12日閲覧。
- ^ ““銚子電鉄22000形は、3/29(金)より営業運転を開始します。”. 銚子電気鉄道. 2024年3月25日閲覧。
- ^ 「銚子電鉄、30年ぶりの「中古の中古」ではない新車両をお披露目」『朝日新聞』朝日新聞社、2024年3月10日。2024年3月11日閲覧。
- ^ ちょうでんのブログ2012年4月4日
- ^ RMニュース「デハ501、元相模鉄道モニ2022 解体」
- ^ 銚子の元丸ノ内線車両が引退 運転士2人が同時に運転する珍しい方法で 乗りものニュース 2014年12月16日
- ^ ちょうでんのブログ2012年5月16日
- ^ ちょうでんのブログ2012年6月6日
- ^ おつかれさま デハ1001 イベント - 銚子電気鉄道、2016年2月20日閲覧
- ^ 銚子電鉄の電車たち - 銚子電気鉄道、2015年9月2日閲覧
- ^ 2015年1月10日(土) 引退記念運行決定! - 銚子電気鉄道、2014年12月27日閲覧
- ^ 銚子電鉄のパンフレットより
- ^ 白土貞夫『銚子電気鉄道』(上)ネコパブリッシング、2011年、20-21頁
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- 7 外部リンク
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