定禅寺ストリートジャズフェスティバル in 仙台
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/21 03:49 UTC 版)
沿革
1981年(昭和56年)から始まった仙台市営地下鉄南北線の工事に伴い、勾当台公園周辺の再開発が進み、バブル景気を追い風に仙台市は大きく変化した。1980年代の仙台郊外では、スポーツランドSUGOにてロックンロールオリンピック、泉パークタウンなどでライブ・アンダー・ザ・スカイやJTスーパーサウンドなど、野外でのロックフェスティバルやジャズフェスティバルなどが開催され、青葉山公園ではTBC夏まつりの野外コンサートなどが開催されていた。
- 前史
- 1985年(昭和60年)、勾当台公園近くに(当時)東北一の超高層ビルのタワービルが完成し、また、青葉神社例大祭(仙台祭り)が仙台・青葉まつりとして復活した。
- 1986年(昭和61年)、勾当台通と東二番丁通りが直結。これは、仙台市営地下鉄南北線および勾当台公園駅の工事に合わせたものである。年末には「SENDAI光のページェント」が初開催された。
- 1987年(昭和62年) NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』の放送により、「政宗ブーム」が起きる。東北新幹線(1982年11月15日開業)などで1年を通じて仙台に空前の観光客が集まる。3月にはファッションビル「ファッションドーム141」が勾当台公園の斜向かいに開業。7月15日には仙台市営地下鉄南北線が開業し、勾当台公園駅と141が直結する。
LIVE 141 定禅寺ストリートジャズフェスティバル
上述のように、勾当台公園周辺で新たなイベントが始まり、再開発が行われて大きく変化している最中の1987年(昭和62年)、定禅寺通の新たな顔となった141において、エル・パーク仙台を会場にジャズを中心とするライブが始まった。ジャズという音楽ジャンルが選ばれた理由については、JAZZ PROMENADE in SENDAI#歴史を参照。
このライブは恒例となり、「定禅寺通り(定禅寺ストリート)」の「ジャズフェス」から「定禅寺ストリート ・ジャズフェスティバル」(JJF) と名付けられ、1990年(平成2年)の第4回まで続いた。
定禅寺ストリートジャズフェスティバル
音楽家の榊原光裕の「本来音楽は野外でやるもの」という考えに基づき、「SENDAI光のページェント」期間中に定禅寺通りの一角でシンセサイザーのミニコンサートを行ったところ、多数の観客が集まった[3]。この経験から有志が集まって、街頭でJJFを開催することを企画し、1991年(平成3年)に現在のような「街角」「屋外」「無料」のスタイルで初開催された。また、フェスティバルの名称も、「屋外で行う」ということから「ストリートジャズ」を1つの言葉と捉え直し、「定禅寺(通り)」の「ストリートジャズ」「フェスティバル」から「定禅寺ストリートジャズ ・フェスティバル」(JSF) に改称された。
一方、1989年(平成元年)4月1日の仙台市の政令指定都市移行に合わせ、'89グリーンフェアせんだい(全国都市緑化フェア)が地下鉄や宮城県庁舎などの工事が終わって再整備された勾当台公園を会場の1つとして開催された。勾当台公園は再整備により大きく変化し、イベント会場として利用できる「市民広場」などが設置された。ここに屋台を並べ、大規模なステージを築くことにより、JSFは定禅寺通りから外に向かって仙台市都心部各地にステージを増やしながら広がっていった。
当初から仙台市市民文化事業団より助成を受けていた[3]が、バブル崩壊後の失われた10年の影響で、1995年(平成7年)をピークに協賛・協力企業が減少したため、出演者が運営協力費を負担したり、ボランティアの手を借りたり、サポーターズクラブを結成して年会費を得たりして、JSFの開催を維持するようになった[4]。2000年(平成12年)の開催実績から仙台市を代表するイベントであると市が認め、2001年(平成13年)から仙台市経済局が所管して直接市から助成を受けるようになり[3]、協賛・協力企業の数も増加するが、規模の拡大に対応するため2003年(平成15年)に運営協力費は値上げされた[4]。年4000万円強の運営費総額の2/3は、この運営協力費と、当日会場を訪れた市民のカンパや協賛金によってまかなわれている。[5]。
市はお金を出すが運営には口を出さず、現在もボランティア主体で運営がなされている[3]が、運営費が足りないため、JSF期間中は様々な募金活動も同時に行われている。
年表
回 | 年 | 月日 | 参加 | ステージ | 観客数 | 備考 | |
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バンド | 人数 | ||||||
1 | 1991年 | 9月15日 | 25組 | 150人 | 9か所 | 0.5万人 | |
2 | 1992年 | 9月27日 | 56組 | 410人 | 12か所 | 2.0万人 | ジャズ以外のジャンルにも拡大 |
3 | 1993年 | 9月19日 | 67組 | 450人 | 15か所 | 3.5万人 | |
4 | 1994年 | 9月11日 | 111組 | 750人 | 20か所 | 5.0万人 | |
5 | 1995年 | 9月10日 | 167組 | 1,028人 | 27か所 | 8.0万人 | |
6 | 1996年 | 9月8日 | 194組 | 1,250人 | 29か所 | 10.0万人 | |
7 | 1997年 | 9月14日 | 255組 | 1,280人 | 32か所 | 10.0万人 | 出演者1人1000円の負担開始 |
8 | 1998年 | 9月13日 | 290組 | 1,470人 | 34か所 | 12.5万人 | ボランティア募集開始 フリーマーケット開始 |
9 | 1999年 | 9月12日 | 363組 | 2,200人 | 42か所 | 18.0万人 | |
10 | 2000年 | 9月9日 | 520組 | 2,900人 | 61か所 | 38.0万人 | 10周年を機に2日間の開催になる サポーターズクラブ開始 |
9月10日 | |||||||
11 | 2001年 | 9月8日 | 590組 | 3,358人 | 74か所 | 45.0万人 | 「仙台市都市景観大賞」受賞 仙台市が直接助成を開始 smtで前夜祭を開催開始 |
9月9日 | |||||||
12 | 2002年 | 9月7日 | 519組 | 3,455人 | 82か所 | 45.0万人 | 「サントリー地域文化賞」受賞 |
9月8日 | |||||||
13 | 2003年 | 9月13日 | 570組 | 3,558人 | 82か所 | 54.0万人 | 定禅寺通の一部車両通行止開始 出演者負担が1人2000円になる |
9月14日 | |||||||
14 | 2004年 | 9月11日 | 629組 | 4,008人 | 88か所 | 56.0万人 | Jazz Styleを前夜祭の1つと認定 |
9月12日 | |||||||
15 | 2005年 | 9月10日 | 640組 | 3,921人 | 80か所 | 63.0万人 | 5月にSpring Preview開催 無料ループシャトルバス運行開始 |
9月11日 | |||||||
16 | 2006年 | 9月9日 | 649組 | 4,123人 | 89か所 | 71.0万人 | 「NHK東北ふるさと賞」受賞 |
9月10日 | |||||||
17 | 2007年 | 9月8日 | 707組 | 4,432人 | 90か所 | 72.0万人 | |
9月9日 | |||||||
18 | 2008年 | 9月13日 | 714組 | 4,442人 | 96か所 | 75.0万人 | |
9月14日 | |||||||
19 | 2009年 | 9月12日 | 721組 | 4,819人 | 90か所 | 74.0万人 | |
9月13日 | |||||||
20 | 2010年 | 9月11日 | 776組 | 5,071人 | 92か所 | 74.0万人 | 20周年を機に初めて仙台駅東口側 (榴岡公園)でも開催 |
9月12日 | |||||||
21 | 2011年 | 9月10日 | 747組 | 4,903人 | 90か所 | 79.0万人 | |
9月11日 | |||||||
22 | 2012年 | 9月8日 | 769組 | 5,257人 | 96か所 | 84.0万人 | 「地域再生大賞準大賞」受賞 |
9月9日 | |||||||
23 | 2013年 | 9月7日 | 733組 | 5,008人 | 92か所 | 68.0万人 | |
9月8日 | |||||||
24 | 2014年 | 9月13日 | 715組 | 5,027人 | 92か所 | 76.0万人 | |
9月14日 | |||||||
25 | 2015年 | 9月12日 | 730組 | 5,108人 | 92か所 | 70.0万人 | |
9月13日 | |||||||
26 | 2016年 | 9月10日 | 760組 | 5,060人 | 94か所 | 70.0万人 | |
9月11日 | |||||||
27 | 2017年 | 9月9日、9月10日 | 756組 | 5,169人 | 96か所 | 79万人 | |
28 | 2018年 | 9月8日、9月9日 | 779組 | 5,231人 | 94か所 | 72万人 | |
29 | 2019年 | 9月7日、9月8日 | 710組 | 5,131人 | 92か所 | 77万人 | 「街ごと楽しむジャズフェス10選」全国1位 |
29.5 | 2020年 | 新型コロナウイルスの影響により、オンライン企画を実施 | |||||
30 | 2021年 | 9月11日、9月12日 | 77組 | ||||
31 | 2022年 | 9月10日、9月11日 | 86組 | 480人 | 13ステージ | 20万人 | |
32 | 2023年 | 9月9日、9月10日予定 | 23ステージ |
- ^ 仙台の5大イベント 協賛金が大幅減 企業頼み見直し必要 Archived 2010年1月2日, at the Wayback Machine.(河北新報 2009年12月31日)
- ^ a b 市民主体の地域活性化(音楽イベントを通じたまちおこし)に関する調査研究業務 報告書 (PDF) (財団法人 堺都市政策研究所 2011年1月)
- ^ a b c d 仙台市 日本最大のストリートジャズフェスティバル 街角が楽しくなる音楽のまち目指す(財団法人地域活性化センター「月刊地域づくり」 2001年12月特集)
- ^ a b 第6回『集客装置としての都市イベント』(東北経済産業局広報誌「東北21」 2008年5月号『せんだい遊歩 -変わる消費と集客のからくり-』 )
- ^ 【特報 追う】“情熱”が育んだジャズフェス 行政・企業に頼らず18年(産経新聞 2008年9月11日)
- ^ 温泉街にジャズの調べ 大崎・鳴子(河北新報 2014年10月5日)
- ^ 別冊 定禅寺2005マガジン
- ^ 情熱生中継! 定禅寺ストリートジャズフェスティバル2006(東北放送)
- ^ 秋風味! 定禅寺ストリートジャズフェスティバル2008(東北放送)
- ^ 生中継! 定禅寺ストリートジャズフェスティバル2009(東北放送)
- ^ 第530回東北放送番組審議会 議事概要(東北放送)
- ^ <過去>2012年スケジュール(浅野祥 公式サイト)
- ^ 【TBCテレビ】「生中継!定禅寺ストリートジャズフェスティバル2015」9月12日(土)OA予告 - YouTube
- ^ ぶらバン2011〜定禅寺ストリートジャズフェスティバル〜 Archived 2014年10月11日, at the Wayback Machine.(NHK仙台放送局「東北Z」)
- ^ MMFへの思い(松本ミュージックフェスティバル実行委員会ブログ) … 東北大学在学中にJSFや伊達ロックフェスティバルに参加し、影響を受けた藤岡浩志(元FMじょんぱ「ROCK'N 倶楽部」のパーソナリティ)が地元・長野県に戻って始めた。
- ^ ニュースリリース(ザ・パワーオブミュージックフロムアキタ)
- ^ トークバトル「浜松市の音楽文化を考える」(静岡新聞 2007年11月11日) … やらまいかミュージックフェスティバル実行委員長 鈴木建也 談
- ^ 手作り天童ジャズフェス29日 地元愛好家ら出演(河北新報 2007年9月26日)
- ^ 若手経営者ら音楽でまちおこし 東近江 4月にジャズフェス(京都新聞 2009年1月1日)
- ^ つくば公園通り音楽祭 ペデオン(常陽リビング 2009年4月23日)
- ^ 合言葉は定禅寺に続け 寒河江でジャズフェス 来月3日(河北新報 2009年9月21日)
- ^ 定禅寺のジャズフェスティバル その1(かってに観光紹介!! 2011年7月26日)
- ^ 響く音色、街を包む 青森市でフェス(河北新報 2014年10月8日)
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