国立天文台 国立天文台の概要

国立天文台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/19 19:37 UTC 版)

国立天文台

国立天文台 三鷹キャンパス(東京都三鷹市
正式名称 国立天文台
英語名称 National Astronomical Observatory of Japan
略称 NAOJ
組織形態 大学共同利用機関
所在地 日本
181-8588
東京都三鷹市大沢2-21-1
北緯35度40分30.7秒 東経139度32分16.2秒 / 北緯35.675194度 東経139.537833度 / 35.675194; 139.537833
予算 154億円(2008年度実績)[1][2]
* 運営公費金等 140億円
* 科研費等補助金 14億円
人数

常勤職員250人(2023年3月31日時点)[3]

  • 1人(台長)
  • 149人(研究教育職員)
  • 40人(技術職員)
  • 58人(事務職員)
  • 2人(URA職員)
大学院生(総研大)33人(2023年3月31日時点)[3]
台長 土居守
設立年月日 1988年
前身 東京天文台(1888年
上位組織 自然科学研究機構
所管 文部科学省
拠点 #組織を参照
ウェブサイト https://www.nao.ac.jp/
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日本国外のハワイ観測所などいくつかの観測所や、三鷹キャンパスなどで研究活動をしており、総称として国立天文台と呼ばれる。本部は東京都三鷹市三鷹キャンパス内にある。

概要

歴史

近代日本における国立の天体観測所は、海軍水路寮が東京府麻布区飯倉(現:東京都港区麻布台[注 1])に設置した観象台から始まる[注 2]

別途、東京帝国大学(現在の東京大学)に星学科が設立された時、その附属の研究所として同じく麻布狸穴町に新たな観象台が設置され、1888年(明治21年)に、帝国大学附属東京天文台となる。東京の発展により、麻布付近は夜の灯火が増えて天体観測に適さなくなった。このため、当時は雑木林や田畑が広がる農村でありながら、甲武鉄道(現:JR中央本線)の開業により交通の便が良くなった三鷹への移転が決まり、1914年に工事が始まった。当初は都会を離れることを嫌がっていた職員やその家族も、関東大震災(1923年)の被災により、三鷹周辺への移住が進んだ[4]

東京天文台は、名古屋大学空電研究所や文部省緯度観測所(現在の水沢VLBI観測所)と移管統合され、文部省直属の研究機関である国立天文台となる[注 3]。行政改革により、分子科学研究所など4つの国立研究所と統合再編及び法人化され、大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台になる。

構成

国立天文台は、東京都三鷹市に本部を置き、日本各地や国外にも観測施設を設置し観測業務並びに機器開発、装置運用を実施している。大学共同利用機関法人自然科学研究機構を構成する大学共同利用機関の一つであり、総合研究大学院大学の専攻研究科を構成する。

歴代台長

国立天文台発足以降の、歴代台長(在任期間)の一覧

国立天文台長は、4年間の任期制であり、再選により2年の延長が可能である。

前身の一つである東京天文台の歴代台長(在任期間)の一覧


注釈

  1. ^ 現在の日本経緯度原点がある所。
  2. ^ 天文学において、『日本書紀』に「占星台」の記述がある。また、現在の東京都台東区には「浅草天文台」が設立された記録がある。浅草天文台は、江戸幕府天文方が、私費を集めて設立した民間の天文台。その後、「明治政府」が欧米の天文学に倣い、東京帝国大学(当時は、理科大学)に設立したのが、「観象台」である。「浅草天文台」は、明治2年3月15日に発せられた太政官達により、東京府に属せられると同時に廃止された。司天台は、京都の朝廷に勤める天文方が、朝廷から支援を受けて設立された天文台。それぞれの目的は、の編纂であった。なぜならば、当時の暦は太陰太陽暦を採用していたため、暦と実際の季節の間にずれが生じやすかったためである。
  3. ^ 東京天文台の改組はそれまで多くの研究費が旧帝国大学等に集中するという批判が高まったため取られた措置である。東京大学の組織であった東京天文台は、大学から独立し広く開かれた研究所となる国立天文台と大学において教育研究指導を推進する東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターに改組された。他には、東京大学附属宇宙航空研究所が、宇宙科学研究所へ改組された例や、名古屋大学プラズマ研究所及び、広島大学核融合理論研究センター、京都大学ヘリオトロン核融合研究センターが統合されて核融合科学研究所が発足した例などがある。
  4. ^ 協定世界時 (UTC) や国際原子時 (TAI) の生成に寄与する原子時計を運用する国内の機関は、国立天文台 (NAO) の他に情報通信研究機構 (NICT) と産業技術総合研究所計量標準総合センター (NMIJ) がある[21] [22]
  5. ^ 大学共同利用機関とは、大学(学校法人)では保有(もしくは設置・運用)の難しい大型機器等を開発・設置・運用することによって、詳細かつ精密な研究を実施できるようにした研究機関のことである。

出典

  1. ^ 自然科学研究機構 予算 2010-04-21 閲覧
  2. ^ 自然科学研究機構 外部資金 2010-04-21 閲覧
  3. ^ a b 国立天文台年次報告〔和文〕(第35冊) 2022年度 Ⅲ.機構 2024-05-23 閲覧
  4. ^ 【東京探Q】なぜ三鷹に国立天文台?昔は農村 暗闇が好適/貴重な施設 見学も可能『読売新聞』朝刊2018年10月29日(都民面)。
  5. ^ トロートン天体望遠鏡 国立科学博物館
  6. ^ 東京都港区. “はじまりは麻布から(海軍観象台)” (PDF). 2022年1月19日閲覧。
  7. ^ 内閣官報局(編)「明治21年文部省告示第2号」『官報』明治第1477号、日本マイクロ写真、東京、1888年6月4日、25頁、NDLJP:2944714 
  8. ^ 中桐正夫「東京天文台100周年記念誌作成時の資料-その1-」(PDF)『アーカイブ室新聞』第346号、国立天文台、東京都三鷹市、2010年6月9日、1頁、2014年1月2日閲覧 
  9. ^ 新美幸男「日本の標準時」(PDF)『天文月報』第90巻第10号、日本天文学会、東京都三鷹市、1997年10月、473-474頁、ISSN 0374-2466NAID 10002142171NCID AN001545552013年12月29日閲覧 
  10. ^ 河合章二郎(著)、日本天文学会(編)「帝国の天文台に就て」(PDF)『天文月報』第12巻第9号、日本天文学会、東京市、1919年9月、137-146頁、ISSN 0374-2466NCID AN00154555NDLJP:33039902014年1月9日閲覧 
  11. ^ a b 河合章二郎 1919, p. 140, §5.
  12. ^ 日本天文学会(編)「三鷹村新東京天文台(三)」(PDF)『天文月報』第18巻第10号、日本天文学会、東京府北多摩郡三鷹村、1925年10月、150-153頁、ISSN 0374-2466NCID AN00154555NDLJP:33040632014年1月9日閲覧 
  13. ^ 河合章二郎 1919, p. 141, §6.
  14. ^ 木村榮記念館 (2013年). “観測所の歴史” (HTML). 国立天文台水沢. 木村榮記念館. 国立天文台. 2024年4月9日閲覧。
  15. ^ 日本天文学会(編)「雑報 東京天文台の移転」(PDF)『天文月報』第17巻第7号、日本天文学会、東京市、1924年7月、111頁、ISSN 0374-2466NCID AN00154555NDLJP:33040482014年1月12日閲覧 
  16. ^ 内閣印刷局(編)「大正13年文部省告示第362号」『官報』大正第3617号、日本マイクロ写真、東京市、1924年9月11日、280頁、NDLJP:2955765 
  17. ^ 日本天文学会(編)「雑録 理科年表」(PDF)『天文月報』第18巻第3号、日本天文学会、東京府北多摩郡三鷹村、1925年3月、39-41頁、ISSN 0374-2466NCID AN00154555NDLJP:33040562014年1月9日閲覧 
  18. ^ 岡山天体物理観測所の建設と東京天文台時代:岡山天体物理観測所40周年記念誌”. 国立天文台 岡山天体物理観測所. 2022年10月8日閲覧。
  19. ^ 大型低温重力波望遠鏡KAGRAが完成、重力波望遠鏡3者による研究協定を締結」国立天文台 2019年10月4日
  20. ^ 国立天文台 組織概要には、設置目的として「天文学及びこれに関連する分野の研究、天象観測並びに暦書編製、中央標準時の決定及び現示並びに時計の検定に関する事務(文部科学省令第57号 国立大学法人法施行規則 第一条 国立大学法人法第五条第二項)」が挙げられている。
  21. ^ Bureau International des Poids et Mesures (2023年). “Laboratories” (html) (英語). BIPM Time Department Data Base. Participation. Bureau International des Poids et Mesures. 2024年4月5日閲覧。
  22. ^ Bureau International des Poids et Mesures (2024年). “Geographical map” (html) (英語). BIPM Time Department Data Base. Participation. Bureau International des Poids et Mesures. 2024年4月5日閲覧。
  23. ^ RISE月惑星探査プロジェクト 2019-12-23 閲覧
  24. ^ SOLAR-Cプロジェクト 2019-12-23 閲覧
  25. ^ a b c d e f g h i j 国立天文台 (2022年4月). “国立天文台 天文情報センター” (html). 国立天文台 天文情報センター. 国立天文台. 2024年4月4日閲覧。
  26. ^ 科学研究部”. 国立天文台. 2019年12月23日閲覧。
  27. ^ 野辺山太陽電波観測所 閉所のお知らせ”. 国立天文台. 2019年12月23日閲覧。
  28. ^ 2018年4月からの公開・質問・画像利用について”. 国立天文台 (2018年3月31日). 2019年12月23日閲覧。


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