マスタリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/28 03:55 UTC 版)
原盤制作
原盤制作においても、広義のマスタリングと狭義のマスタリングの二つの用法が存在する。原盤制作作業における狭義のマスタリングとは、量産プレスのために、プリマスタリング(後述)によって作成された内容で原盤(スタンパ)を作成する工程を指す。原盤制作作業における広義のマスタリングには、プリマスタリングとスタンパ作成の両方の工程が含まれる。
原盤制作作業において一般的にマスタリングと言えばプリマスタリングのこと、もしくは広義のマスタリングを指すことが多い[注 1]。
プリマスタリング
通常、収録内容、収録順序の決定、内容編集などの工程がマスタリングの前に必要となる。これらをプリマスタリング (pre-mastering) と称する。
- 音楽メディアのプリマスタリング
- 音楽CD、DVD-Audioなどの音楽メディアの場合はミキシング(ミックスダウン)して作られたマスターテープから、曲順の決定や、フェードイン・フェードアウトなどのクロスフェード作業、最終的な曲のレベルや音質、音圧調整、曲間の編集等[注 2]を経て、CDカッティング用マスターテープ(現在はプリマスターCD-RやDisc Description Protocolファイル)をつくる作業を指し、通常、マスタリングスタジオで行われる。音楽メディアにおけるプリマスタリングは、楽曲やアルバム全体の最終的な印象を決める重要な作業である。
- 音楽メディア以外のプリマスタリング
- その他のCD-ROM、DVD-ROMなどの媒体の場合は、内容を編集し、マスターを製作するための原盤の原盤を製作する作業をプリマスタリングと呼ぶ。プリマスタリングされた内容はCD-Rなどに記録される。
リマスタリング
1950 - 80年代などのアーティストの音楽作品は1980年代末以降、古い映像作品は2010年代以降に、リマスターやリマスタリングなどと称して再発表や再発売されている。
音楽作品はほとんどがアナログ音源だが、旧デジタル音源も含まれる。これらは改めてプリマスタリングとマスタリングした作品である。[注 3]この際、(主にアナログ音源の)リマスターをデジタル機器で行うことをデジタルリマスターもしくはデジタルリマスタリングと呼ぶ。アナログ盤再発では、あえてアナログリマスターされる事もある。
古い音源や映像を最新の音響技術や画像編集技術を用いてマスタリングし直すことで、より良い音質や画質が期待できる(アナログマスターテープの経年劣化、デジタル化する際の音質や画質の変化、またレコーディングやミキシング自体は古いなどのため、全てが良くなるわけではない)。
注釈
- ^ 市販のCD/DVD/BDライティングソフトでマスタリングと表記されている場合も、こちらを指す。CD/DVD/BDライティングソフトをマスタリングソフトと呼ぶこともある。
- ^ すでにトラックダウンされたギターやベースなど楽器毎のバランスは、マスタリング作業で調整できない。これらはミキシングにおける作業である。
- ^ マルチトラックのマスターから楽器や音声素材ごとに定位・音量バランスなど、編集をやり直す作業は全てリミックスであるが、 オリジナル・バージョンに近いバランスで編集し直したものもリマスタリングと呼ぶ。もっとも、ミキシングはマスタリングの前に行う作業なので、リミックス音源は即ち、リマスタリング音源であるとも言える。だが、ただ単に「リマスタリング」と記載されているものの多くは補正(イコライジング、ノイズ除去など)のみで、編集は行われていない。編集そのものからのやり直すリマスタリング(厳密にはリミックス)は、古い時代の編集をそのまま使用したリマスタリングと比較すると、より現代的な音像を期待できる。
- ^ もちろん、この作業工程とは全く異なる手順を踏むエンジニアも多くおり、この工程が標準というわけではないことに留意が必要である。
- ^ コンプレッサー (音響機器) 参照。
出典
- ^ 日本コロムビア LPファクトリーコラム
- ^ 永野光浩『マスタリング』音楽之友社、2004年、75-79ページ
- ^ マスタリングとミックスダウン
- ^ 『サウンド&レコーディング・マガジン』 2011年4月号 http://www.rittor-music.co.jp/magazine/sr/10121004.html
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