前処置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 02:47 UTC 版)
検査前日の夕食後は絶食となる。一般に前日の夕食は夜の20時から21時までに済ませてもらい、それ以降は飲水のみが可能である。飲水は検査当日も可能であるが牛乳やいろのついた飲み物は控える。このような食事制限をしても検査で胃内に食物残渣を認めることがあり、そのような場合は次回から検査前日の食事制限を昼食からにするなど個別の対応をする。常用している薬剤は検査当日の朝は高血圧や不整脈など循環器系の薬物にかんしては服用するが糖尿病薬など低血糖を起こす薬物は服用を控える。抗血栓薬は特に生検を行う場合は指定された期間の服用中止が必要である。検査直前の前処置には消泡薬投与、咽頭麻酔、抗コリン薬投与、鎮静薬投与がある。消泡薬にはジメチルポリシロキサン、咽頭麻酔は塩酸リドカイン、抗コリン薬は臭化ブチルスコポラミンが用いられることが多い。 検査前の絶食 (ラテン語: NPO; nil per os) 米食では10時間以上、パン食では6時間以上の絶食が求められる。米とパンの時間差は、消化の差である。一般に21時以降は飲水以外は不可となる。固形物以外は良いと誤解する患者もいるが、ヨーグルトやコーヒー、ジュース、お茶なども不可であり、飲水のみが可能である。 胃内の気泡除去のため、バロス消泡液やバリトゲン消泡液、ガスコン・ドロップ、バルギン消泡液などの医療用シリコーンを服用する。また胃内粘液の影響を軽減するため、プロナーゼMSやガスチームなどの蛋白分解酵素を服用することもある。有線式の内視鏡の挿入には苦痛が伴うため、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}欧米では、基本的に鎮静剤を使用する(多くはミダゾラム)[要出典]。日本ではかつて、鎮静剤を使用すると回復に時間がかかるという理由もあり、鎮静剤を使用しない施設が多かったが、近年は、苦痛軽減のために鎮静剤を積極的に使用する施設が増えている。日本ではオピスタン、セルシンなどが主流であったが、ドルミカムを用いる施設も増えつつある(日本ではセルシン、ドルミカムのこの目的での使用は保険適用外)。ミダゾラムは0.07 mg/体重kg当り(最大 4mgまで)とする施設が多い。欧米ではより安全なプレセデックスが用いられることもある。また消化管が蠕動すると、観察・記録・処置が困難であるため、禁忌がなければブスコパンやチアトンなどの抗コリン剤注射を投与する。緑内障、排尿障害、不整脈などのため抗コリン剤禁忌である場合は、グルカゴン注射を用いる。グルカゴンは高血糖を助長するが、糖尿病においても必ずしも禁忌ではない。
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