SFにおける位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 02:43 UTC 版)
「フランク・ハーバート」の記事における「SFにおける位置づけ」の解説
デューンはベストセラーのSF小説であり、《デューン》シリーズもベストセラーのSFシリーズである。また、ヒューゴー賞とネビュラ賞のダブルクラウンでもある。同時代人のロバート・A・ハインラインによれば、ハーバートの作品は「強力で、納得できて、最も巧妙」である。 デューンは多くの理由で画期的な小説と考えられる。 ロバート・A・ハインラインの1961年の小説『異星の客』と同様、『デューン』はそれまでのSFより、文学的なアプローチへの傾斜を示している。それまでには、SF小説が売れるには大きな技術的アイデアが必要だと思われており、性格描写やストーリーの重要性は過小評価されていた。 デューンはソフトSFと呼ばれるサブジャンルの金字塔である。ハーバートは意図的にデューンでテクノロジー描写を抑制して、人類のテクノロジーの未来というよりも人間性の未来に集中することができた。デューンは人類とその組織とが、時と共に変化していく方向を考察している。 デューンは初の生態学を主テーマとしたSF小説であった。フランク・ハーバートは科学的思考を一般化させる名人であった。彼の多くのファンは哲学や心理学に興味を持った原点としてフランク・ハーバートの影響を挙げている。デューンにおいて、惑星レベルの環境を見事に描くことで、彼は生態学(エコロジー)という用語を一般化させ、その分野の概念のいくつかも一般化させた。ジェラルド・ジョナスはニューヨーク・タイムズの書評の中で次のように述べた:「ハーバート氏は人類と動物と地理と気候の相互作用を描き、デューンは新たなサブジャンルであるエコロジーSFのスタンダードとなった」。デューンの人気が上がってくると、ハーバートは各地の大学に講演にでかけ、デューンにおける生態学的問題が我々の抱えている問題と相似していることを説明した。 最後に、デューンは真の叙事詩的な世界を構築した。Library Journal誌では「SFにおけるデューンは、ファンタジーにおける『指輪物語』に匹敵する」と評した。フランク・ハーバートは、用語集、引用、文書、歴史といったあらゆる面を創造し読者に彼の想像した宇宙をもたらした。それ以前のいかなるSF小説もそこまで深い現実性を持った作品はなかったのである。 ハーバートは、デューン以後に20本ほどの小説を書いたが、そのレベルは様々である。いくつかの作品は、技術的アイデアがSFの全てであった古い時代に戻ったかのような作品であった。そして、《デューン》シリーズのファンはそれらの作品には批判的である。 ハーバートは『デューン』で得た喝采をその後再び味わうことはなかった。作品のほとんど全てがニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに載ったが、ヒューゴー賞やネビュラ賞を獲得することはなかった。『砂丘の子供たち』は文学的すぎ、暗すぎると思われた。『ドサディ実験星』にはファンが期待する叙事詩的な面が欠けていた。 最後に、『SF大百科事典』のマルコム・エドワーズの評を以下に示す。 ハーバートの作品の多くは読むのが難しい。彼の考えは単なる飾り物ではなくよく考え込まれた概念であったが、過度に複雑なプロットにまぎれ、思考のレベルに対応しない散文にリンクしている。……しかし、彼の最良の小説は思索的で知的であり、現代SF界にライバルはほとんどいない。
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