SFにおける宇宙人
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H・G・ウェルズは『宇宙戦争』(1898) で火星人が地球侵略にやってくる物語を描いた。ここから、単純に地球外生命との最初の出会いを描くファーストコンタクトものや、宇宙人による侵略を描くものが派生していった。 まず様々な火星人が登場する作品が次々と書かれた。エドガー・ライス・バローズの火星シリーズ (1912 - 41) を初めとして、スタンリイ・G・ワインボウムの『火星のオデッセイ』(1934)、レイモンド・Z・ガランの「火星人774号」(1934) などがある。さらにE・E・スミスの《レンズマン》シリーズ (1937 - 60) などのスペースオペラでは太陽系外の異星人も登場するようになった。A・E・ヴァン・ヴォークトの『宇宙船ビーグル号の冒険』(1950) では、凶悪な宇宙生命体をいくつも登場させている。 第二次世界大戦後、宇宙人の描き方が多様化していく。レイ・ブラッドベリの『火星年代記』(1950) は、火星人と地球人の出会いからの話を叙情的に描いた。ロバート・A・ハインラインの『人形つかい』(1951) では、寄生型宇宙人による侵略が描かれている。アーサー・C・クラークの『幼年期の終り』(1953) では、姿をなかなか見せない宇宙人によって地球が無抵抗で征服される。ハル・クレメントは、『20億の針』(1950) では他の生物の体内にもぐりこんで活動する流動体型の宇宙人、『重力の使命』(1954) では高重力に適応したムカデ型宇宙人を登場させた。ジャック・フィニイの『盗まれた街』(1955) では、人間に化けて徐々に侵略していく宇宙人が登場。フレッド・ホイルの『暗黒星雲』(1957) は、太陽系に突如出現した暗黒星雲が知的生命体だったという話である。ジェイムズ・ブリッシュの『悪魔の星』(1958) では、リチアという惑星の奇妙な姿の知的生物が登場する。ハインラインの『宇宙の戦士』(1959) では、意思疎通不可能な昆虫型宇宙人などと戦争を繰り広げる。スタニスワフ・レムは、ファーストコンタクトをテーマとした3作品『エデン』(1959)、『ソラリスの陽のもとに』(1961)、『砂漠の惑星』(1964) で、地球外生命体との意思疎通の困難さを描いた。 その後、未来史やスペースオペラなどの形で、様々な異星人が描かれていった。ストルガツキー兄弟の未来史 Noon Universe (1961 - 87)、ラリー・ニーヴンの《ノウンスペース》シリーズ(1964 -)、アーシュラ・K・ル=グウィンの Hainish Cycle (1964 - 2000)、フランク・ハーバートの《デューン》シリーズ (1965 - 85) と《ジャンプドア》シリーズ (1970 - 77)、C・J・チェリイやアン・マキャフリイの諸作品、ブライアン・ステイブルフォードの《宇宙飛行士グレンジャーの冒険》シリーズ (1972 - 75) などがある。 フレッド・セイバーヘーゲンの《バーサーカー》シリーズ (1967 - 2005) は、有機生命体を絶滅させることを使命としている機械生命体との戦いを描いたもので、同様のテーマはグレゴリー・ベンフォードの《銀河の中心》シリーズ (1976 - 1995) などにも見られる。 ジョン・ヴァーリイの《八世界》シリーズ (1977 - 98) は謎の地球外生命体によって人類がほぼ絶滅させられた後の世界を描いた。フレデリック・ポールの《ヒーチー年代記》(1977 - 90) では、高度な科学技術を発展させたヒーチー人や謎のエネルギー生物などが登場する。ダグラス・アダムズの『銀河ヒッチハイク・ガイド』から始まるシリーズ (1979 - 92) には様々な宇宙人が登場し、コミカルに描かれている。デイヴィッド・ブリンの知性化シリーズ (1980 -) は、銀河系の知的生命体は別の知的生命体によって「知性化」されてきた歴史があり、地球人類だけが独自に進化を遂げたという設定である。ジェリー・パーネルとラリー・ニーヴンの『降伏の儀式』(1985) は異星人による地球侵略を真っ向から扱った作品。スティーヴン・バクスターの《ジーリー》シリーズ (1991 - 02) では、地球は何度か異星人に征服されており、生きている巨大宇宙船なども登場する。
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