PTの開発、採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 17:34 UTC 版)
「パーソナルトルーパー」の記事における「PTの開発、採用」の解説
新西暦179年、連邦軍からPT開発のオファーを受けたマオ社は、プロジェクトの中心メンバーとして入社間もないカーク・ハミルとマリオン・ラドムを選抜。カークはロボット工学の博士号を取得した天才エンジニア、マリオンは駆動系のエキスパートであった。今後マオ社が軍需産業において飛躍するために、天才的能力を持つ彼等に開発プロジェクトのすべてが任せられた。 開発における最初の課題は動力源の選定にあった。候補として燃料電池、大容量バッテリー、核融合ジェネレーターの3種が上がった。燃料電池やバッテリーはマオ社が製造する月面作業機械でも使用されており、技術的ノウハウは充分に持っていたが、核融合ジェネレーターは同社にとって不慣れな分野であった。これらの動力源には各々長所・短所が存在する。燃料電池はエネルギー効率が高く民間作業機用には十分な出力を持つが、軍用兵器の動力としては瞬間最大出力が低くやや力不足とされた。大容量バッテリーは燃料電池と異なり最大出力の調整が自在に行え、戦闘時に要求される大出力供給の問題はクリアしていた。しかし電力量のキャパシティに上限があり、通常稼働で30分程度、フルパワーでは5分未満で電力が尽きてしまうため、やはり軍用兵器の動力としては問題が残った。結果的に残ったのが核融合ジェネレーターであった。核融合ジェネレーターは既存の動力源の中では最大のエネルギー変換効率を持ち、既に発電所や船舶の動力として幅広く運用され、信頼性も十分であった。しかし現状の核融合ジェネレーターは、指定されたサイズの機体に搭載するには大型すぎた。機体の開発とPT用核融合ジェネレーターの開発は並行して行われ、マオ社技術部門は数多の試行錯誤と開発スタッフの多大な努力により、必要スペックを満たす小型核融合ジェネレーターを完成させた。 新西暦180年末、開発開始から1年という速さで初の人型機動兵器「ゲシュペンスト」が完成、3機がロールアウトした。ゲシュペンストは地上・宇宙ともに対応可能な汎用兵器として設計されたが、今後の運用のため2号機は宙間戦闘重視、3号機は地上戦重視の仕様になっており、3機には異なる形式番号「PTX-001 / 002 / 003」が付与された。翌181年、連邦軍の評価試験に1号機であるPTX-001が提出された。PTX-001は様々な場所・状況のテストで数百に及ぶ項目を次々と消化し、各社競合機に大きく差をつけ最優秀の成績を収めた。結果、マオ社はPT開発の委託を勝ち取り、ゲシュペンストはPT第1号となった。 高評価を受けたゲシュペンストであったが、課題も残していた。まず大気圏内運用において単独での飛行能力を持たず、空戦能力はジャンプや短時間の滑空といった限定的なものに留まっていた。そのため制空戦闘は既存の戦闘機によらざるを得なかった。装甲防御力が想定よりもやや低い点も問題とされた。また、携行火器を用いた遠距離戦射撃時に微細なブレが生じ、射撃精度が低下する欠点が存在した。これは汎用性重視のため内蔵火器を省略し、マニピュレーターで武装を持ち替えるコンセプトが裏目に出たものであった。これら問題点のため、現状のゲシュペンストは連邦軍の目指す万能兵器という理想に達するものではなかった。連邦軍からの問題提示を受け、マオ社はゲシュペンストの改修に着手した。この際1、2、3号機に異なる仕様の改修が加えられ、タイプR / S / Tと呼ばれるようになった。
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