マイク・バイソン
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マイク・バイソン | |
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ゲームでの初登場 | ストリートファイターII |
声 | #担当声優を参照 |
詳細情報 | |
肩書き | シャドルー四天王[1] |
格闘スタイル | |
出身 | ![]() |
マイク・バイソン (Mike Bison) または M.バイソン (M. Bison) は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。
概要
『ストリートファイターII』(以下『ストII』と表記)で初登場。初登場時はCPU専用の敵キャラクターだったが、『ストリートファイターII'』(以下『II'』と表記)よりプレイヤーキャラクターとして使用可能になった。
実在するプロボクサーのマイク・タイソンがモデルであるため、肖像権などの問題により、欧米版では名前をBalrog(バルログ)と変更されている。欧米でM. Bisonというと、日本版でのベガのことをさす。
初代『ストリートファイター』には、バイソンに容姿と設定が似たアメリカ出身の黒人ボクサーとして「マイク」が登場しているが、公式の解答においてもバイソンと同一人物である説と別人である説の両方が存在している[3]。あきまんは「『ストII』が発売された1991年当時、世間に漂っていたボクサーのイメージ像を盛り込んだキャラクターであり、マイクの延長線上を意識してデザインした」と語っている[4]。後に『ストリートファイターV』公式サイト内の1コーナー「シャドルー格闘家研究所」にてバイソンとは異なるマイクのプロフィールが発表され、改めて両者は別人であることが明言された[5]。
なお、マイク・バイソンは欧米では名前が「Balrog」になっているが、初代『ストリートファイター』のマイクは欧米でも名前が「Mike」のままである。
キャラクターの設定
『ストII』におけるボスキャラクター・シャドルー四天王の一番手を務める、アメリカ代表の黒人ボクサー。年齢不詳であるベガを除くと四天王の中では最年少である。
スラム街の貧しい家庭に末っ子として生まれる。喧嘩に明け暮れる毎日を過ごしていたが、一攫千金を夢みてヘビー級のプロボクサーとなった。ボクサーとしての訓練を受ける金がなかったため、ファイトスタイルは我流。インサイドワークなどは無視し、相手に突撃して力任せに殴りつけるだけの非常に荒っぽい戦法を好む。
かつてはチャンピオンに君臨していた時期もあったが、手加減することを知らずに数々の対戦相手を再起不能にしたため、対戦カードを組まれなくなりボクシング界から追放される。やがてラスベガスのカジノのホールを本拠地として賭け試合で金を稼ぐようになり、『ストリートファイターZERO3』(以下『ZERO3』と表記)では、場末の酒場やカジノで用心棒をしていたところをベガに多額の報奨金を約束されてシャドルーに入ったとされている。シャドルーが壊滅してからは消息不明になり、地下でギャンブルと酒にまみれた荒んだ生活を送っていたが[6]、ベガの復活とともに再び姿を現す。
髪に大きく入ったイニシャルのMの字のように見える剃り込みがトレードマーク。作品やイラストによっては前歯が欠けて描かれる場合も多い。青系のシャツとトランクスに、赤系のグローブ、茶色のシューズ(紐と靴底の色は服の色と同じ)を着用している。
頭は悪いがパンチ力は世界一という設定[7]。ケンからは「やつはただのバカだよ。破壊力だけなら人間のそれを超えているけどね」と評されている[8]。
表舞台の異種格闘技大会では『ストリートファイターIII』(以下『ストIII』と表記)のアレックスと対戦した際、1ラウンド目に23発ものパンチを浴びせるものの、2ラウンド目にロングフックを喰らいKO負けを喫する[8]。これに限らず、他のキャラクターのストーリーや、アニメ・漫画など他のメディアにおいてもかませ犬的な扱いを多くされる。
『ストII』シリーズの設定では、乱暴な性格である一方で純粋にチャンピオンを目指すという姿勢が見られ、『II'』と『ストリートファイターII' TURBO』(以下『II'ターボ』と表記)のエンディングでは世界一の座について歓喜の涙を流しているほか、全国の子供たちに夢を与えてアメリカン・ドリームを蘇らせることに成功している。『スーパーストリートファイターII』(以下『スパII』と表記)と『スーパーストリートファイターIIX』(以下『スパIIX』と表記)のエンディングでも同様の描写があり、世界一になった祝いに取り巻きの女性たちに酒をおごっている。また、キャラクターソングである『Bison's Dream』には「世界一になるのが夢」「俺の夢は皆に愛されるチャンピオンになること」という歌詞がある。ゲーム外の媒体によっては完全な悪役として描かれる場合もあれば、暴虐ながらも最低限の良心は持つ人物として描かれる場合もある。ゲームボーイアドバンス版の『スーパーストリートファイターII X リバイバル』のエンディングのみ「ベガを倒してシャドルーを乗っ取ったものの、彼がトップになった途端にシャドルーは崩壊し、バイソンはどん底生活へ逆戻りとなる」というものに変更されている。
人物
幼少期をスラム街で貧しい思いをして過ごした経験から、金銭への執着心が非常に強い。また、非常に気性が激しく好戦的な性格でプライドが高い。そのため、同じシャドルー四天王のバルログやサガット(後にシャドルーを脱退)とは険悪な関係にある。
金への執着心やベガの寝首を狙っている点から、『ストリートファイターZERO』以降のバーディーとキャラが被ると指摘されることがある[要出典]。しかし『ZERO3』ではある程度の差別化は図られており、バーディーと共にサイコドライブを手に入れようとするが、ベガの入っていた機械がそれだと知らずにベガごと破壊してしまい、バーディーをも呆れさせてしまっている。
プロフィールの「好きなもの」に「女」を挙げているように、非常に下品で女好きな性格。特に美女には目がなく、『CAPCOM VS. SNK』シリーズでモリガンに勝利したときは下心のあるかのようなセリフを呟く。
劇場アニメ『ストリートファイターII MOVIE』で粗暴なキャラクター性が強調された設定で登場して以降、原作ゲームやクロスオーバー作品において「バイソンはパワーだけで知性と品性に欠ける」という描写が定着している[注 1]。
『CAPCOM VS. SNK』シリーズではバルログからは「愚劣な猛牛」、さくらからは「殴る前と顔が変わらない」、マキからは「典型的な単細胞キャラ」と揶揄され、SNKサイドのライデン、ルガール・バーンシュタイン、バイスには声をかけても相手にされず、八神庵が「仲間など足手まとい」、二階堂紅丸が「自分の美顔が際立つ」と発言した途端に激怒するなど、両サイドの多くのキャラクターから器の狭い性格や人相の悪さを馬鹿にされている。また、警察官や刑事とは反りが合わないと明かされている(この時ばかりは相手が女性〈春麗〉であっても容赦がない)。
『CAPCOM VS. SNK 2』では麻宮アテナに対して「大会では思う存分、女子供を殴れる」という暴力性を見せる一方で、掛け合いではベガの影響で彼女のサイコパワーに恐れをなしている。同作のエンディングでは賞金受取書と勘違いして、災害復興基金の契約書にサインしてしまう。
『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』と表記)では従来のコミカルな面は鳴りを潜め、金銭や報酬への執着の強さをそのままに凶暴性と残虐性がより強調されたキャラクターとなっており、勝利時のセリフは対戦相手を皮肉ったものが多いが、その一方でフェイロンやハカンからは勝利メッセージでチンピラ呼ばわりされている。エンディングではS.I.N社に取り残されて命乞いをする子供エド[注 2]と出会い、最初は無視していたものの、そのエドの妖しい様子を見て「金になりそうだ」という理由で引き取る。
『ストリートファイターV』(以下『ストV』と表記)では成長したエドがストーリーモードに登場し、サイコパワーを使って物を触れずに動かすことができるほか、一度も「勘」が外れたことが無いという能力を見せる。『ストV』ではエドはバイソンと行動を共にしており、ゼネラルストーリーではバイソンが闘っている間に、エドが超能力(サイコパワー)で目当ての物を盗むという連携を見せる。
『ストV』のバイソンのストーリーモードではチェインズ計画を発案した新四天王のF.A.N.G(ファン)に不満を抱いていて、エドの提案で金目当てにユリアンにチェインズ計画の情報を売る。多額の報酬を払うが傲慢な態度のユリアンにエドは不満を抱き「またあんな感じの悪い奴の部下になるのか」と不平を言うが、バイソンは「金を貰えば用済み」と全てが済んだらユリアンを倒す予定でいる。
シャドルー崩壊後もエドと共に過ごしていたが、サイコパワーに支配される夢を見ているエドが黙って去ろうとしたのを制止し「まだ弱いヒヨっ子は黙って付いて来ればいい」と言って戦うが敗北する。その後すぐにエドを突き放した(エドと対戦した際の勝利コメントでは「また鍛えなおしてやってもいい」とも言っている)。
『ストV』のアーケードモードの初代『ストリートファイター』コースでは、かつて同一人物説が疑われた初代の敵キャラクター「マイク」の代役として登場する。ただしエンディングはバイソンとしてのもので、サガットを倒したところでカメラクルーが集まってくるがバイソンとは別人の「マイク」にインタビューを始めてしまうという夢を見た、という内容になっている。
『ストIII』の開発スタッフによると、『ストIII』シリーズに登場するボクサー・ダッドリーとは面識が無い設定[9]だが、『スーパーストリートファイターIV』(以下『スパIV』と表記)においてダッドリーがプレイヤーキャラクターに追加されたことで、元チャンプであるバイソンと現チャンプであるダッドリーの戦いが実現した。作中では紳士的なボクサーであるダッドリーと、その正反対の性格であるバイソンが対比されており、互いに対抗意識を持っている様子が描かれている。
『ストリートファイター X 鉄拳』では『箱』を手に入れるため、ベガの命令によりバルログとタッグを組んで南極に向かう。互いに不満に抱きながらも『箱』の力に引かれ、あわよくば独占しようと考えている。
『Super Street Fighter II Turbo HD Remix』および『ウルトラストリートファイターII』のエンディングでは、ベガからの報酬金で贅沢な暮らしに慣れてしまっていたため、シャドルー崩壊後もその生活が止まることは無かったが、3か月で金が底をついた後は、再び頂点に立つため訓練を始めたことになっている。
他のメディアでのバイソン
劇場アニメ『ストリートファイターII MOVIE』の劇中ではパーティーにて、ゲームでは見られないタキシード姿で取引相手と交渉しているシーンがある。劇中の終盤ではエドモンド本田と戦うが、もみ合いになり抱き合ったまま崖から落下してしまう。
TVアニメ『ストリートファイターII V』ではFBIへのスパイという頭脳派キャラクターに設定されている。パーティーに出席して表舞台に滅多に姿を現さないベガと交渉相手の橋渡し的な役割をしていたり、キャミィに抵抗する間もなく一方的にやられてしまうなど、ゲームとはかなりキャラクター性が異なる。後期オープニング映像ではゲームと同じ格好をしている。
1992年に発売されたドラマCD『ストリートファイターII 復讐の戦士』では囚われたナッシュに対し、彼なりの情けをかけたり、新型麻薬によって狂った彼が正気に戻るように祈り続け、その死に涙を流してベガを悪魔呼ばわりするなど、根っからの悪党ではなく、気弱で自らの良心に苦しむ描写がある。また真っ当なボクサーとしてありたいというプライドから麻薬に関心が無いことや、自分がチャンピオンになって黒人社会に夢を与えるという自分のアメリカンドリームについて語る。シャドルーに入ったのも自分の意思ではなく、プロモーターがシャドルーの回し者だったからであり、本人は夢のためにしかたなくシャドルーに居るだけであった。
1993年から1996年に『コロコロコミック』にて掲載されていた漫画『ストII爆笑!!4コマギャグ外伝』では、飛び道具や炎の技がない地味なファイターであることに悩んでおり、その点をしばしばギャグ化された他、自身とは対照的に美形でモテるバルログを羨んでいる。魚が嫌いであるため、ピラルクやピラニアのいるブランカのステージをひどく嫌っている様子も描かれた。また両腕に常にグローブを装着しているので、ジャンケンで負けたりスイッチをまともに押せないなど日常生活において様々な不自由を余儀なくされている。ゲームの設定では他の四天王と仲が悪いが、本作ではそのような描写はない。
1994年の実写映画『ストリートファイター』ではシャドルー所属の悪人ではない。この作品ではバイソン将軍(ベガ)によってボクシング界を追われた元ボクサーとして、同じくバイソン将軍によって相撲界を追われた元力士のエドモンド本田と一緒にバイソン将軍暗殺とバイソン軍壊滅のためにテレビレポーターに扮する春麗に協力し、TVクルーに扮する。役名は欧米版のゲームと同じ「バルログ」。
1997年の漫画『さくらがんばる!』では香港の地下闘技場の選手として登場し、ダンを叩きのめすが、潜入捜査していた春麗の百裂脚により倒される。ゲームの設定では四天王の一員だが、本作の立場はシャドルー配下の組織のメンバーである。
1998年のドラマCD『ストリートファイターZERO3 ドラマアルバム』では根っからの悪人として描かれており、リュウと神月かりんを痛めつける。しかし、足元が弱点と見破られて敗北する。
2009年の実写映画『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』ではゲームと同様にシャドルーの幹部として登場する。演者はマイケル・クラーク・ダンカン。
その他
- 『II'ターボ』までのバイソンの声は実況のボイスが流用されていた(「ターンパンチ」のカウント、コンティニュー時のセリフ)。ただし、『ハパII』での『II'ターボ』以前のバイソンのコンティニューの声はザンギエフやベガと同じ声に変更されている。
- 名前に略字が使われているエドモンド本田(E.HONDA)やサンダー・ホーク(T.HAWK)はそれぞれ「イー・ホンダ」「ティー・ホーク」とアナウンスされるが、バイソンの場合は「M」は読み上げられず、そのまま「バイソン」とアナウンスされる。
- デフォルトカラーが水色から青に変更された『スパIIX』では、選択後に隠しコマンド入力で『スパII』バージョンの水色カラーが使用できる。『ストIV』では逆にデフォルトカラーが水色に戻っており、『スパIIX』風の青カラー(グローブも同様にピンク)が選択できる。
- 『II'ターボ』では2Pカラーが前作の『II'』からほとんど変更されていない。そのため、『スパII』以降の強パンチカラー(『II'ターボ』仕様カラー)は肌の色がかなり黒くなっていたり、グローブの色が緑になるなど大幅に変更されている。なお『ハパII』でのTURBO仕様の1Pカラーと、SUPERX仕様の強パンチカラーもそれぞれ当時と同じ配色になるが、これらのカラー同士での対戦は不可能となっている。
- ゲーム本編でグローブを外した姿は『II'ターボ』までのバストアップの他、『スパII』以降の『ストII』シリーズのエンディングや『ストV』のストーリーモードで見られる。
- スーパーファミコン版『ストII』シリーズのバイソンステージの背景中央にいる帽子をかぶった人物は、作品を追うごとに動きが微妙に異なっている。初代『ストII』ではアッパー、『ストリートファイターIIターボ』は反転、『スパII』ではストレートのポーズをとる。
- ゲームボーイアドバンス作品『スーパーストリートファイターII X リバイバル』のホームステージは『ZERO3』のデザインになっている。
- 『モンスターストライク』では通常と進化時の属性は「水」設定である[10]。
- 『ストリートファイターV アーケードエディション』(以下『ストV AE』と表記)では、期間限定の追加コスチューム「マイク風バイソン」として初代『ストリートファイター』に登場したマイクの格好をした姿もエクストラバトルの報酬として登場した(「メナトの気まぐれ占い」にて2018年10月15日まで配信)。
主な登場作品
- ストリートファイターIIシリーズ(『II'〈ダッシュ〉』以降はプレイヤーキャラクターとして使用可能)
- ストリートファイターZERO3
- ストリートファイターIVシリーズ
- ストリートファイターV[11]
- CAPCOM VS. SNK全シリーズ
- SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ全シリーズ(トレーディングカードゲーム版も含む)
- SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS
- ストリートファイター X 鉄拳
- モンスターストライク[12]※特定イベント限定[10]
- Street Fighter X Mega Man
担当声優
- 格闘ゲームでの担当声優
- その他の関連作品での担当声優
脚注
注釈
出典
- ^ CAPCOM:STREET FIGHTER V 公式サイト バイソン 2016年7月17日閲覧
- ^ a b CAPCOM:ULTRA STREET FIGHTER IV 公式サイト バイソン2016年7月17日閲覧
- ^ スーパーストリートファイターIV・オフィシャルブログ『質問に答えちゃうシリーズ(11)』より。
- ^ 『ストリートファイター X 鉄拳 アートワークス』114頁。
- ^ シャドルー格闘家研究所・活動報告書『キャラ図鑑013:マイク』
- ^ 『ストリートファイターIVオリジナルアニメーション feat.Cヴァイパー』より。
- ^ ゲーメストムックVol.17『カプコンイラストレーションズ』11頁。
- ^ a b 『ストリートファイターIII』のシークレットファイルより。
- ^ ゲーメストムックVol.81 『ストリートファイターIII ファンブック』のオフィシャル回答より。
- ^ a b 宝島社『モンスターストライク最強攻略BOOK5』79頁。
- ^ 「ストリートファイターV」,16人目は自称シャドルー四天王No.2の「F.A.N.G」。発売後にはアレックス,ガイル,いぶき,バイソン,ジュリ,ユリアンが配信 - 4Gamer.net2015年12月8日閲覧
- ^ 『Vジャンプ』2015年9月号「モンスターストライク×ウルトラストリートファイターIV 開催期間2015年7月17日〜2015年7月31日」210 - 211頁。
参考文献
- 『ALL ABOUT カプコン対戦格闘ゲーム 1987-2000』2000年9月15日、発行:スタジオベントスタッフ、発売:電波新聞社、ISBN 4-88554-676-1
M・バイソン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/11 07:32 UTC 版)
同じく、バイソンそのままの女性化。ただし、長くなった襟足をドレッドヘアにしている。
※この「M・バイソン」の解説は、「ミッドナイトブリス」の解説の一部です。
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