IPv4アドレス移転制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 14:58 UTC 版)
「IPアドレス枯渇問題」の記事における「IPv4アドレス移転制度」の解説
休眠中のIPv4アドレスの有効活用を目的として、事業者間のIPv4アドレスの使用権の譲渡に関するポリシーの見直しが行われ、2011年8月1日からIPv4アドレス移転制度を施行した。 JPNICで、実施されている内容は、以下のとおりである。 移転できるアドレスの種類JPNICが管理するIPv4アドレスIPアドレス管理指定事業者(以下、指定事業者)へ割り振られているPAアドレス(プロバイダ集成可能アドレス) 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス(以下、特殊用途用PIアドレス) 歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス(以下、歴史的PIアドレス) 移転元の資格JPNICと契約締結している組織(指定事業者、特殊用途用PIアドレス割り当て先組織、歴史的PIアドレス割り当て先組織) 移転先の資格JPNICと契約締結している組織、または新たにJPNICと契約予定の組織(JPNICと契約締結していない組織でも、移転手続きと併せて、新たにJPNICと契約締結することにより、移転を受けることができる) 移転できるアドレスの最小単位/24(/24より小さいサイズのブロックを移転することはできない) しかしながら、これまでの経緯からすると、日本国内における該当するIPv4アドレスの使用権の保持者は、未使用のIPv4アドレス空間を提供する意思がほとんどない。IPv4アドレスが枯渇し、必要になった時に追加取得することが困難になった現在では、この傾向はより強くなっている。JPNICが、2004年から2006年にかけてInterNICやJNICから割り振られた歴史的PI (Provider Independent) アドレスの割り振り先組織の明確化を行った際に、既に休眠中のIPv4アドレスの回収を行っている。(105組織319,488個のIPv4アドレスを回収)。その後、日本国内でIPv4アドレスの使用権の保持するためには、JPNICが認定した指定事業者(プロバイダ)から有償で借り受けるのが一般的であり、IPv4アドレスを保持し続けるとコストがかかるようになった。そのため、使用計画のない休眠中のIPv4アドレスは、ほとんどない状態になっている。 JPNICの管轄外からのIPv4アドレスの供給元として、歴史的背景から休眠中のIPv4アドレス空間を多く抱えているARIN(北米地域担当の地域インターネットレジストリ)が期待されるが、ARINは、地域インターネットレジストリ間でのIPv4アドレス空間の移転に否定的であった。しかし、2013年6月3日以降は、JPNICだけでなくAPNICやARINの管理下にあるIPv4アドレスも移転可能となり、2014年4月30日には世界初のRIR間のIPv4アドレス移転がARIN内の利用者からAPNIC配下のJPNIC管理下の利用者に行われた。 実績としては、IPv4アドレス移転制度が開始された2011年8月1日 - 2012年6月末までの11か月で、移転されたIPアドレスはたった30件しかない。傾向としては資本関係があるグループ企業間の移転か、エンドユーザからそこが利用しているISPやホスティング業者への移転が多い。
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