4つのバラードとは? わかりやすく解説

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ブラームス:4つのバラード

英語表記/番号出版情報
ブラームス:4つのバラード4 Balladen Op.10作曲年1854年  出版年1854年  初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1番 ニ短調エドワード」 d moll6分00 No Image
2 第2番 ニ長調 D dur5分30秒 No Image
3 第3番 ロ短調 h moll4分00 No Image
4 第4番 ロ長調 H dur1000 No Image

作品解説

2007年7月 執筆者: 和田 真由子

1853年ブラームスは、デュッセルドルフシューマン家を訪ねた。そして、作曲家、またピアノ名手として、シューマン夫妻が最も信頼する音楽家となった。これらの4曲は、作品9《シューマンの主題による変奏曲》とほぼ並行して1854年夏に、デュッセルドルフ書き上げられた。そして、1856年出版され友人ピアニストのユリウス・オットー・グリムに捧げられている。
ブラームスとしては、作品4につづく小品ブラームスは、作品5でピアノ独奏用のソナタから決定的にはなれ、ピアノ独奏曲では変奏曲小品世界向かったのである
これらの4曲はバラード題されているが、「バラードとしての明確な叙事的物語的な性格をもっているのといえるのは、第1番のみであろう。他は、多分に純音楽的なアプローチがとられ、かなり力感的な曲となっている。3部形式にしたがっており、規模ショパンのものほど大きくない
これらの4曲は、それぞれ独立させて演奏されることもあるが、調性的な関連があることから、まとめて演奏されることも多い。

第1番アンダンテニ短調四分四拍子
バラードとしての性格が最もつよく、全曲中、最も演奏される機会が多い。劇的な迫力緊張感をもった曲。
この曲はドイツロマン派の詩人ヘルダーの「諸民族の声」のなかの「スコットランドバラードエドワード〉」によった作品であり、「エドワード・バラード」とも呼ばれる。   
この詩は、父を殺したことを静かに問い詰める母、気持ち荒立て、また罪の意識さいなまれる息子エドワード対話からなっている。
この詩に対しては、歌曲作曲家レーヴェ歌曲作品1の1)を書いており、ブラームスも、1877年アルトテノールのための2重唱曲(作品75の1)を作曲している。

第2番アンダンテニ長調四分四拍子三部形式ロマンス曲想に近い、優しい雰囲気をもつ。はじめのFis-AFis進行ブラームスモットーFrei aber froh “自由にしかし喜ばしく”)の各語のイニシャルにもとづく。このモットーヨアヒムモットーF-A-EFrei aber einsam“自由にしかし孤独に”)から思いいたものであり、のちにもしばしばブラームス作品の中で用いられる

第3番アレグロロ短調八分六拍子、「間奏曲インテルメッツォ)」と記されているが、ここでは晩年間奏曲性格それほど強調されているわけではなく、4つのバラードの中で間奏曲的な位置占めるものであるスケルツォ的な性格をもつ。

第4番アンダンテ・コン・モートロ長調四分の三拍子
シューマンからの影響あらわれており、間奏曲風な味わいをもつ作品。「親しみのある感情をもって。しかし旋律をあまり強調しないように」との指示がある。ブラームス特徴となっている“癒されぬ郷愁”が感じられる


バラード (ブラームス)

(4つのバラード から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/05 05:02 UTC 版)

4つのバラード』(Vier Balladen)作品10は、ヨハネス・ブラームス初期のピアノ曲集。ショパンリストの劇的なバラードと異なり、叙情的な小品集となっている。1854年作曲の日付を持ち、親友で音楽家仲間のユリウス・オットー・グリムに献呈された。この曲集の作曲とほぼ同時期に、ブラームスの創作活動の船出を後押ししていた有名な作曲家ロベルト・シューマンの妻、クララ・シューマンへのブラームスの生涯にわたる愛が始まっている。

4曲のバラードは、同主調になっている2曲が2組組み合わされた構成となっている。

  1. ニ短調(アンダンテ) Andante
  2. ニ長調(アンダンテ) Andante
  3. 間奏曲ロ短調(アレグロ)Intermezzo. Allegro
  4. ロ長調(アンダンテ・コン・モート) Andante con moto

第1曲は、ヨハン・ゴットフリート・ヘルダーの編纂した詩集『諸国民の声 "Stimmen der Völker" 』所収のスコットランドの民族詩「エドワード」に霊感を受けている。空虚5度オクターヴ、単純な三和音の多用は、おそらく神話的な過去の雰囲気を与える効果が意図されており、ブラームスのケルト的様式(オシアン様式)の作品の好例の一つとなっている。第二曲にはシューマンのクライスレリアーナ終曲へのオマージュが見られる。

ブラームスは、『6つの小品集』作品118の第3曲において、無言バラード様式を再び用いている。また二重唱曲『バラードとロマンス』作品75のバラードの1曲は、作品10-1の「エドワード」と同じ詩に曲付けされている。

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