2016年1月の寒波被害
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「喜入のリュウキュウコウガイ産地」の記事における「2016年1月の寒波被害」の解説
メヒルギはマングローブの中では低温に対する耐性が強く、喜入のリュウキュウコウガイ産地もマングローブ林として世界最北の生育地のひとつであるが、2016年(平成28年)1月24日から26日にかけて東アジア全域を襲った記録的寒波による凍害により大きな被害を受けた。この寒波は沖縄本島で観測史上初めてみぞれを観測するなど記録的な低温となり、喜入のアメダスでも1月25日に当地の観測史上最低気温となる氷点下6.3度が観測された。 約1か月後の2月中旬、地元住民よりメヒルギに異変が起きているとの通報を受けた鹿児島市教育委員会は、同市文化財担当者と文化庁非常勤調査員による現地調査を2月21日に行った。 その結果、指定地の北側も南側もふくめ、ほぼ全域にわたり落葉しており、林冠に葉のついている個体は皆無に近い状態であることが確認された。葉の落ちた高さ2メートルほどの個体を切除したところ、先端部の切断面は完全に枯損していたが、先端から50センチ前後のところでは枯損したものだけでなく、一部に緑色の部分が残存し生存していると考えられる個体もあった。鹿児島市では踏圧による根への影響を考え、調査を含め指定地内への立ち入りを制限することとし、春を待って芽が出て枯死の割合の判別を行い、再生に向けた対応を検討実施することとした。 4月下旬になっても芽吹きが見られず大半が枯死したものと思われたが、7月6日に行われた現地調査で少ないながらも芽吹きのある個体が確認された。詳細に調査したところ、大きな個体ほど内部の凍結を免れ、生存できる可能性が高いことが分かり、また、メヒルギの芽吹きは春から夏にかけてだけでなく、秋から冬にかけてもあり、条件が整えば年間を通じて行われることも分かった。 専門家による保全検討会が開催され、枯れ枝の剪定など生存個体の成長を促す方策が検討され実施され、同年末には低茎の群落が形成されるなど、喜入のリュウキュウコウガイ産地のメヒルギは回復傾向にある。 鹿児島県立博物館の元主任学芸主事の寺田仁志は、喜入のリュウキュウコウガイ産地の歴史を考えると、少なくとも400年以上この場所で群落をつくっているのであるから、今回のような霜害は過去にも起こり、その都度回復してきたのではないかと推定しており、北限地帯のメヒルギが樹高も低く主幹が太くならないのは、不定期にこのような寒波に遭い、再生を繰り返しているためだと考えられ、今回、地上部は壊滅的な状況であったものの、地下部は生存個体が残されたことにより、今後回復するものと推察している。 鹿児島市教育委員会では「北限のメヒルギ観察ゾーン」として、間近でメヒルギ観察ができるよう、長さ34メートル、幅1.5メートルの、車いす使用可能なボードウォークを設置し、駐車場整備や解説板などの整備を行っている。
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