麦芽の利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 22:31 UTC 版)
大麦の主な用途として麦芽の製造があげられる。麦芽は文字通りムギ類を発芽させたものであり、本来はオオムギだけを指すものではないが、一般的に、麦芽といえばオオムギからのものをさす。これはオオムギから作る麦芽が最も酵素が多く含まれるため、麦芽の質がよく、結果として麦芽を利用する場合はほとんどがオオムギ麦芽を使用することになるからである。麦芽にはアミラーゼ酵素が含まれ、デンプンを糖に分解する作用があるため、麦芽糖が大量に生成される。麦芽糖はその名の通り糖であり、甘味料として水飴やシロップの原料ともなるが、麦芽のもっとも重要な利用法は糖からアルコールを作ることである。 なかでもオオムギ麦芽のもっとも重要かつ一般的な使用法は、ビールの醸造である。ビールはコムギやほかの穀物、バナナなどから作られることもあるが、通常ビールとはオオムギ麦芽から製造されたものを指す。1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世によって制定されたビール純粋令は、「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」ことを定めている。この法律はバイエルン史を通じて存続し、1870年にバイエルンがドイツ帝国に吸収されたのちも帝国によって引き継がれ、ドイツでは改正をくわえられつつも現役の法律となっている。この麦芽はオオムギを指すものではなく、コムギ麦芽を使用する白ビールなども製造されているが、白ビールでも原料の一部にはオオムギを使うことが多く、またドイツでの生産の多数を占めるピルスナータイプのビールはすべてオオムギ麦芽のみを使用する。 ビールなどの醸造酒のほか、蒸留酒もオオムギから作られる。その中でも最も生産額が多く重要なものは、ウィスキーの生産である。ウィスキーにはオオムギ麦芽(モルト)のみを原料とするモルト・ウイスキーと、トウモロコシやライムギなどほかの穀物から作られるグレーン・ウイスキーがあるが、グレーン・ウイスキーの多くはモルト・ウイスキーと混合するブレンデッド・ウイスキーとなるため、いずれにせよオオムギが大きな役割を持つ。また、ウイスキーのほか、ウォッカやジンはオオムギを原料としたものも多数存在する。 アルコール飲料以外にも麦芽に甘味料などをくわえて飲みやすくした麦芽飲料が世界各国で飲まれ、大企業もネスレ・ミロ、ホーリック、オバルチンなどといった麦芽飲料を製造し販売している。
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