食材としての利用と毒性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 03:19 UTC 版)
多くのイグチ科のきのこは珍味として知られ、特にヤマドリタケは有名である。スカンジナビア料理では人気の食材であり、フィンランド料理でも、ヤマドリタケはポピュラーな食べもので、最も美味なきのことして知られている。多くのイグチ科のきのこは味がよく、最低でも食べられないような味のものではない。しかしながら、有毒であったり、無毒ではあっても食べられない種類も知られている。アシベニイグチやニガイグチなどは強烈な苦味があり、加熱調理してもこの苦味は消えないため、食用にはならない。さらにヤマイグチ属に置かれる数種(かさが橙色を呈する種類)も同様である。ニガイグチは外観がヤマドリタケと似ており、後者と間違えてこれを採取し、調理した料理を食べる段になって落胆する人も多い。ニガイグチではかさの裏面に発達する管孔層がピンク色を帯びており(ヤマドリタケでは淡黄色ないし帯オリーブ褐色を呈する)、柄はヤマドリタケのそれと比べて褐色が強い。また好んで発生する環境も異なっている。 コショウイグチは強い辛味があり、コショウの代用として用いられることもあるが、普通は食用にされない。 フィンランド料理では、スープ・ソース・キャセロールやシチューなどの素材として用いる。シイタケやマッシュルームのようにピザの具材にも使う。 食用にされるイグチ類の中で最も有名なものはニセイロガワリで[要出典]、かさの裏の管孔面に手で触れると青緑色に変色する性質がある(ただし、この性質はニセイロガワリにだけ認められるものではない)。ヤマイグチも有名で、橙褐色ないし灰褐色のかさを備え、柄の基部はしばしばうっすらと青みを帯びている。 いくつかの茸狩りの手引書の中では「柄が赤色を呈するイグチ類は避けよ」と述べられているが、オオウラベニイロガワリやウラベニイロガワリなどは、柄が赤くても食用にでき、味もよい。しかし1994年Boletus pulcherrimusによって一人の死者がでたこともある。ある夫婦がこのきのこを食用にしたところ、激しい腹痛をきたし、夫が死亡した。原因は腸閉塞と見られている。ウラベニイグチも、有毒であると長年にわたって考えられてきたが、このきのこによる死者は現在までのところはいない。中毒症状は消化器系に発現する場合が多く、糖たんぱく質のボレサチンが毒成分とされる。日本産の有毒イグチ類の一種として知られているドクヤマドリに含まれるボレベニンもまた、一種の糖たんぱくであるとされている。ミカワクロアミアシイグチは元々類似の食用キノコがないことと、口に入れると舌が痺れるという特徴的なきのこであったことから死亡例や食中毒例はなかったが、2002年に毒蛋白質であるボレニンやイミン化合物が検出され、猛毒キノコであることが確定した。また、2008年にはウツロイイグチから毒蛋白質であるボラフィニンが単離されており、マウスに対する急性毒性が確かめられている。
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