領主制論とは? わかりやすく解説

領主制論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/16 08:21 UTC 版)

在地領主」の記事における「領主制論」の解説

武士による在地支配基層とする社会支配体制在地領主制呼称する。中世貴族寺社らが次第没落し武士政治社会実権握っていく時代とする認識古くから存在したが、戦後すぐに石母田正が『中世世界形成』を著し武士在地領主として在地支配する在地領主制形成過程において都市領主層による古代奴隷制社会克服され中世封建制国家移行したという考え方打ち出した石母田領主制論)。 この研究日本史学大きな影響力与え在地領主武家政権鎌倉幕府・室町幕府成立史結びつける研究平安時代後期始まり戦国時代に至る在地領主形成解体過程を探る研究などが見られ反対に石母田説への批判論(「非領主論説」=在地領主古代的存在である奴隷制支配者捉える説や荘園領主被官に過ぎないとする説)も含めた活発な議論が行われた。領主制論を引き継ぐにしても荘園制荘園領主古代的存在と見る点を批判して、それともども総体として封建領主階級構成していたと捉えるうになる1970年代に入ると、在地領主研究の進展従い石母田理論のみでは在地領主十分に捉えきれないとする指摘出されるようになった例えば、農業経営から在地商業流通への支配拡大地縁的血縁結合積み重ねにより広範地域束ねる上位権力に結びついていく国人領主層と、反対に村落内部に留まって再生産されていく村落領主称すべき土豪名主層に分化していくことが明らかとなってきた。さらに、武士が必ずしも在地領主であったわけではない事例や、在地領主ではない在地居住武士(「の侍」)の存在、そして領主支配される在地民衆が必ずしも支配甘受するだけの存在ではなく主体的自律的性格併せ持った存在であったことなども指摘されるようになったまた、在地領主支配権限職の体系結びつける考え方私的なイエ支配延長線上に捉える考え方地域安全保障公共機能支配維持者である「長老としての役割重視する考え方など出されることとなった石母田以来武士領主的な存在古代奴隷制克服し歴史発展させた主体として重要視されるあまり、暴力装置であることを無視されているとする批判出されるようになった石母田領主制論は現在ではそのまま通用するものではなくなったが、中世封建制社会研究の発展大きく促した学説であり、また中世社会解明のため在地領主制国人領主制研究今日でも重要な意義有している。

※この「領主制論」の解説は、「在地領主」の解説の一部です。
「領主制論」を含む「在地領主」の記事については、「在地領主」の概要を参照ください。

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