非破壊スキャン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 00:20 UTC 版)
「自炊 (電子書籍)」の記事における「非破壊スキャン」の解説
書画カメラを使用して、製本された書籍を見開きの状態でスキャンする手法も存在する。この場合はページめくりは自動化されず、その分の手間がかかってしまう。しかし、書籍を破壊(裁断)しないで済むという利点があり、古書のような存在そのものに価値のあるものに対してはこの手法が適用される傾向にある。 本を裁断せずに済むため、スキャンしたい本が手元に残り、手軽なため初心者でも使いやすい。その反面、本を180度に開く必要があるため、本の背やページ等にダメージが発生するなどのデメリットも存在する。図書館や学術機関向けに販売されている業務用ブックスキャナは本へのダメージが少なくページ送りも自動で行われるが非常に高価である。 ソフトウェア駆動の機械やロボットが開発され、書籍の内容を保存し、現在の状態のデジタル画像アーカイブを作成するために、製本を解くことなくスキャンすることができるようになってきた。このような最近の傾向は、画像処理技術の向上により、希少な本や壊れやすい本でも短時間で高品質のデジタルアーカイブ画像を撮影できるようになったことに起因している。 最初の完全自動化されたブックスキャナーは、スイスの4DigitalBooks社が製造したDL(デジタル化ライン)スキャナーであった。最初にそれを採用したと知られている機関は、2001年にスタンフォード大学であった。このスキャナは、2001年にビジネスアプリケーション部門のダウ・ジョーンズ・ランナーアップ賞を受賞した。 2007年には、TREVENTUS社が、スキャンのための本の開き角度が60°の自動化されたブックスキャナーを発表した。これは、スキャン中の書籍の保存領域を改善したものである。同社は、ScanRobot®の開発により、欧州連合の「ICT大賞2007」を受賞した。この技術は、バイエルン州立図書館の大規模デジタル化プロジェクトでも使用され、3台のV型スキャナを使用して16世紀の8,900冊の書籍を18ヶ月間でデジタル化した。 ほとんどのハイエンドの商業用ロボットスキャナは、従来の空気と吸引技術を使用しているが、ページをめくるためのバイオニックフィンガーのような代替的なアプローチを使用しているものもある。スキャナーの中には、超音波センサーや光電センサーを利用して、二重ページを検出し、ページのスキップを防止するものもある。1時間に最大2900ページをスキャンできるという報告もあり、ロボットブックスキャナーは大規模なデジタル化プロジェクト向けに特別に設計されている。 グーグルの特許7508978には、ページの三次元形状を検出して自動調整する赤外線カメラ技術がある。東京大学の研究者は、ソフトウェアで湾曲したページの画像を真っ直ぐにできるようにするための3D表面スキャナを含む実験的な非破壊ブックスキャナを所持している。この機械では、作業者がページをめくるのと同じくらいの速さで、1分間に約200ページの本や雑誌をスキャンすることが可能である。これはBFS-Autoとして進展していった。 2013年7月、自動ページ送り機能はないものの、本を裁断せずに読み込める非接触型のスタンドタイプのドキュメントスキャナ「ScanSnap SV600」がPFUより発売された。 DIYの非破壊型ブックスキャナー/デジタイザーの例。本を下向きに設計し、重力でページを平らにすることができる。 業務用ブックスキャナ Internet Archiveでのブックスキャナー Internet Archiveでのブックスキャン作業 スキャンの合間にページをめくる メディアを再生する ロボットブックスキャナーDLminiの作動動画
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