非典型例・異常例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 08:43 UTC 版)
「染色体異常」も参照 非典型的な例として、次のようなものがある。これらの多くは、精子・卵子の生産時に減数分裂に失敗したことによる。 XXY、XXXY、XXXXY型(クラインフェルター症候群、クラインフェルター男性) 過剰なX染色体を持っている。発生率は1000人に1人。多くは発現形質は男性であり、外性器はほぼ正常な男性に見える。以前は精子が少なく、精子奇形も多い事から自然的受精は無理だったが、現在は人工授精での受精が可能。X染色体の数が多いほど障害は強い。骨粗鬆症になりやすく、女性の更年期障害に似た症状を呈することもある。 XYY、XYYY、XYYYY型(超雄;スーパー男性) Y染色体が過剰である。発生率は1000人に1人。外性器は完全に男性であり、生殖能力もある。XY型男性に比べて精子が少ないという説もある。凶悪犯罪が多いという意見や一方非常に知能的であるという意見もある。 XXYY型 クラインフェルターの一種とも、超雄の一種とも言われる。 XX型男性 性染色体はXX型であるが、変異したY染色体のかけらが他の染色体に結合し、その上のSRY遺伝子が働いている。発生率は数十万 - 数百万人に1人と見積もられている。外性器はほぼ男性であるが、尿道下裂が見られることもある。生殖能力はない。思春期には女性としての二次性徴をすることもある。性ホルモン投与により男性化を促さなければ、次第に女性化していく。 XO型(ターナー症候群、ターナー女性) 性染色体としてはX染色体を1つだけ持つ。まれに破損したY染色体のかけらを持っていることもある。発生率は2000人 - 3000人に1人である。発現形質は女性であり、外性器に形成変異はない。子宮が欠落することもある。二次性徴が欠落する為、治療を必要とする。全体に低身長であり、月経不順などがあることもある。腫瘍・糖尿病の危険性が高い。知能障害は少ない。 XXX型(超雌) X染色体を3つ持つ(トリプルX)。発現形質は女性。知的障害を伴う場合がある。やや肥満型が多い。スーパー女性とも呼ばれる。 カルマン症候群 X染色体の一部が欠損している。嗅覚に異常が見られる。 モザイク型 通常、個体の全ての細胞は全く同一の遺伝子セットを持っているが、まれに細胞ごとに異なっている場合がある。これが性染色体に関して発生すると、XO/XY混在型, XO/XX混在型などとなる。クラインフェルター男性のうちの特殊なものとしてXY/XXY混在型があるが、彼らは精子を生産することができ、生殖能力を有する。3種類以上の性染色体型が混在している場合もある。極めてまれであり、その状況も多様であるため、発生率は10億人 - 100億人に1人と推定されている。 また、上ではSRY遺伝子を重視して述べたが、Y染色体上の他のいくつかの遺伝子も男性化の引き金として重要だという説もある。 X染色体は生命維持に必須であるため、Y染色体1つのみを持つYO型の個体は出生されず流産となる。
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