非共有電子対の立体化学的不活性と不活性電子対効果の不一致
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 02:29 UTC 版)
「不活性電子対効果」の記事における「非共有電子対の立体化学的不活性と不活性電子対効果の不一致」の解説
立体化学的不活性とは、例えばs電子に由来する非共有電子対がVSEPR則に寄与しない状態を指す。VSEPR則では、非共有電子対を含めた電子対が互いに反発することで、化合物の立体構造が形成されると考える。しかし、例えばBiI3ではs軌道の非共有電子対との反発が無視された立体構造を取る。このように、立体構造の決定に寄与しない非共有電子対を、立体化学的に不活性である、と呼ぶ。 一方、不活性電子対効果と、立体化学的に不活性な電子対とは必ずしも対応しない。例えば不活性電子対を持つ塩化スズ(II)において、s軌道が立体化学的に不活性であれば分子は直線形(結合角180度)になるはずである。しかし、実際の塩化スズ(II)の気体の分子構造は折れ曲がった構造(結合角95度)をとり、s電子が結合に関与していることを示唆している(s電子対が立体化学的に活性である)。よって実際のところは不活性電子対効果の名に反して、s電子が化学的に不活性になっているわけではない[要出典]と考えられる。
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