集中式クールコンテナシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 05:55 UTC 版)
「日本のコンテナ輸送」の記事における「集中式クールコンテナシステム」の解説
集中式での鉄道冷凍輸送は、1988年から関東 - 北海道区間の限定輸送で始まった。この方式で使用する冷凍コンテナは冷凍機が電動機駆動のため、電源が必要である。しかし通常の貨車には電源装置がないため、予備発電機と自動消火装置を搭載した二重系統仕様の発電専用電源コンテナとして、20 ftタイプの(G30A形 または ZG形)を積んだ貨車の前後を、電源供給用引き通し電気ケーブルを設けた貨車で挟む形で積載する「集中式」が開発された。後記する国鉄時代からすでに運用されていた#分散式では、当時の機器類の耐久性問題や自動運転技術の未熟さゆえに、長距離輸送の際には途中停車駅で多少の点検はあるもののそれ以外は乗務員の目に触れないため、万一発電機停止などのトラブルがあれば積荷が変質するなどのおそれがある。また、自然災害などによる輸送障害時に予定外に長時間臨時停車するときには、各冷凍コンテナ搭載の発電機に燃料油をコンテナ毎に追加給油するなどの手間もかかったが、この集中式であればそのような致命的打撃はほぼ免れることができる。JR貨物ではこの新しい輸送方法を、「集中式クールコンテナシステム」と名づけていた。 しかし、実際に始まってみると積載貨車が限定されるのみではなく、輸送トラックにも小型発電機を装備し、また発送者・荷受人両方においても、三相交流200 V工業規格の専用給電設備が必要となるなど、集中式では運用の自由度が極端に低かった。さらに貨車に積込・積降し時の付帯する多数の電源ケーブル接続や点検、機器の設定などの諸作業にも膨大な手間暇がかかった。このため、登録運用されていた集中式専用コンテナは、日本通運12フィート(ft)タイプ5 t積載UF15A形1000番台および、20 ftタイプ10 t積載UF26A形1000番台・全国通運12 ftタイプ5 t積載UF15A形1000番台および、20 ftタイプ10 t積載UF27A形1000番台・西濃運輸20 ftタイプ10 t積載UF26A形1000番台の、3社合計約60個程度に留まり、わずか数年で中止されてしまった。以後、この方式は使われていない。 ただし、その後にJR貨物仕様の集中式クールコンテナシステムとは別に、国際海上コンテナ輸送の需要が時代の流れとともに発生して来たので、専用の電源コンテナより各冷凍コンテナへ給電する集中式を継承して随時、以下の三ルートにて新規に輸送ルートが設定された。
※この「集中式クールコンテナシステム」の解説は、「日本のコンテナ輸送」の解説の一部です。
「集中式クールコンテナシステム」を含む「日本のコンテナ輸送」の記事については、「日本のコンテナ輸送」の概要を参照ください。
- 集中式クールコンテナシステムのページへのリンク