雅楽にまつわる言葉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 04:28 UTC 版)
塩梅(えんばい) 西洋音楽で言うところのメリスマ。近似する音程へ徐々に移行する一種のポルタメント。ゆっくりと慎重に音程を変更するところから、具合を測りつつ物事を進めるさまを表す。 八多羅(やたら)、八多羅滅多羅(やたらめったら)、滅多(めった) 現在は「矢鱈」と書くがこれは明治時代に夏目漱石によって作られた当て字で、本来は雅楽の拍子を指す。2拍子と3拍子のリズム細胞を繋げる変拍子。転じて、リズムが合わず滅茶苦茶で大袈裟な身振りや様を指す。多羅(たら)はサンスクリットのターラ(リズム)に由来する。 打ち合わせ(うちあわせ) 管楽器同士で練習をした後、打楽器を交えて、最終的なリハーサルをしたことから。 野暮(やぼ) 笙の17本の管のうち「也」と「毛」の音が使用されないことから。 様になる(さま-)/左舞なる(さまい-) 左舞(さまい)が上達することから。 上手い(うまい) 右舞(うまい)から。 二の舞を舞う(にのまいをまう) 「二ノ舞」は「安摩」とセットの番舞、ただし例外的にどちらも左方に属し、装束のみ二ノ舞は右方の装束。安摩が上手に舞った後、二ノ舞は真似て舞おうとするが、上手に出来ずに滑稽な動きになるという設定。転じて他人の成功 を真似て失敗すること。他人の失敗 を繰り返す例に使われるのは本来は誤用。 呂律(ろれつ) 古くは「りょりつ」とも読んだ。呂と律は雅楽における曲調の大分類であり(上述の曲の調子を参照)、呂律は広い意味での曲の調子を意味する。呂旋法を前提に作られた曲を律旋法で詠おうとすると調子がおかしくなることから、音の調子が合わない(転じて詠唱や講演でうまく言葉が続けて発音できない)ことを「呂律が回らない」と表現するようになった。 呂旋法(りょせんぽう) 雅楽では、この旋法の曲はきわめてまれで、壱越調、双調、太食調、沙陀調、水調などがこれに属するが、その大半は中国の商調(宮、商、角、嬰角、徴、羽および嬰羽からなる)で、ただし、宮調(宮、商、角、変徴、徴、羽および変宮からなる)、徴調(宮、商、角、嬰角、羽および変宮からなる)もある。 つまり、日本雅楽の呂旋法は、商調において起止音を宮音と定めたものである。 律旋法(りつせんぽう) 宮、商、嬰商、角、徴、羽および嬰羽の7音であり、角が宮の上完全4度にあるのがその特徴である。 雅楽では、平調、黄鐘調、盤渉調がこれに属する。 二の句を継げない(にのくをつげない) 朗詠で、一の句から二の句に移る時、急に高音となるため歌うのが難しいことから。 唱歌(しょうが) 三味線や、篳篥、箏などの邦楽器を記憶するために、一定の規則にしたがって奏法の情報も含めて歌う体系。⇒唱歌
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