障害補償給付・障害給付
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 10:21 UTC 版)
「労働者災害補償保険」の記事における「障害補償給付・障害給付」の解説
業務災害又は通勤災害による傷病が治った(症状が固定化した)後に、一定の基準により障害等級に基づき、年金(障害等級1〜7級)または一時金(障害等級8〜14級)が支給される(第15条)。年金を受けている者が就職して賃金を得た場合であっても、年金の支給が停止・減額されることはない。障害による労働能力(一般的な平均労働能力のことを指し、個々の労働者の特有の諸条件は含まない)の喪失に対する損害の填補が目的とされる。1〜3級はおおむね労働能力の永久的全部喪失、4〜7級は労働能力の永久的過半喪失に該当する。同一の事故による身体障害が2以上ある場合は、原則としてそのうち重いほうを適用する(併合)。 13級以上の身体障害が2以上あるときは重いほうの障害等級が1〜3級繰り上げる(併合繰り上げ)。13級以上の身体障害が2以上あるときは重いほうの障害等級が1級繰り上げる。 8級以上の身体障害が2以上あるときは重いほうの障害等級が2級繰り上げる。 5級以上の身体障害が2以上あるときは重いほうの障害等級が3級繰り上げる。 すでに身体障害(業務上であるか否かを問わない)を有する者が業務上・通勤による傷病により同一の部位について障害の程度を加重した場合は、加重後の障害の程度の障害等級とする。この場合、加重前・加重後とも7級以上の場合、「加重前の障害(補償)年金」と「加重後の障害(補償)年金額から加重前の障害(補償)年金を引いた額」の2つの障害(補償)年金が重ねて支給される。 加重前・加重後とも8級以下の場合、加重前後の差額が一時金として支給される。 加重前が8級以下、加重後が7級以上の場合、加重後の年金額は加重前の一時金額の1/25が引かれた額となる。 年金支給額は、1級の場合は1年につき給付基礎日額の313日分、2級は277日分であり、7級は131日分となる。一時金支給額は、8級の場合は給付基礎日額の503日分、9級は391日分であり、14級は56日分となる。年金受給者の障害の程度に変更があった場合は、その翌月から新たな傷病等級に対応した年金額となる(一時金の支給を受けた者の障害の程度が自然的に増悪・軽減した場合については、変更の取り扱いは行われない)(第15条の2)。平成28年1月からは、障害(補償)給付の申請には申請者の個人番号の記載が必要となる。 年金の受給者の負傷又は疾病が再発した場合は、年金の受給権は消滅し、再度療養(補償)給付を受けることになる。そして、再度治癒・症状の固定化があったときに、あらためてその該当する年金または一時金が支給される。一時金の受給者の負傷又は疾病が再発した場合は、再治癒後に残った障害の程度が従前より悪化したときのみ、差額支給が行われる。 障害(補償)年金受給権者の障害の程度に変更があった場合、遅滞なく所轄労働基準監督署長に文書で届出なければならない。一方、当該障害にかかる負傷又は傷病が治った場合(再発して治った場合を除く)は、届出は不要である。 当分の間、年金を受ける権利を有する者は、請求により1回に限り障害(補償)年金前払一時金の支給を受けることができる(附則第59条)。前払一時金支給額は、1級の場合は給付基礎日額の1340日分、2級は1190日分、7級は560日分までの範囲で受給権者が選択する。この請求は、治癒した日の翌日から起算して2年以内かつ年金の支給決定通知日の翌日から起算して1年以内に行わなければならない。前払一時金を受給した場合、障害(補償)年金はその額に達するまでの間支給が停止される。また、年金の権利者がその限度額に満たない額しか受けないまま死亡した場合は、遺族(生計を同じくしている者が優先)の請求により障害(補償)年金差額一時金が支給される(附則第58条)。 障害補償給付・障害給付は、傷病が治った日(症状が固定化した日)の翌日から起算して5年(前払一時金は2年)の時効にかかる(第42条)。 その他、社会復帰促進等事業としての障害特別支給金、障害特別年金(一時金)がある。(後述)
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