陸上脊椎動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 18:01 UTC 版)
後期三畳紀の絶滅の最初期の証拠は両生類・爬虫類・単弓類といった陸上四足動物の大規模な変遷であった。エドウィン・H・コルバートは三畳紀 - ジュラ紀境界と白亜紀 - 古第三紀境界の絶滅と適応のシステムの類似点を描いた。彼は恐竜・鱗竜類(英語版)(トカゲとその親戚)・Crocodyliformes(ワニとその親戚)がジュラ紀の始まりまでに絶滅した両生類・爬虫類の古いグループの生態的地位をどのように埋めたかを認識した。Olson (1987) では北アメリカのニューアーク層群(英語版)における動物相の変化の研究に基づいて、全ての陸上四足動物のうち42%が三畳紀末に絶滅したと推定された三畳紀の四足動物の変遷が三畳紀末に突然起こったか、あるいはより徐々に進行したのかについては、より新しい研究で議論されている。 三畳紀の間、両生類は分椎目に属するワニに似た大型の生物に主に代表されていた。最初期の平滑両生亜綱(カエルや有尾目のような現生両生類)は三畳紀に姿を現し、彼らはT-J境界を過ぎた分椎目の多様性が減じる一方で、ジュラ紀で一般的な両生類になった。分椎目の衰退は淡水生態系に余波をもたらしたものの、おそらく複数の研究者が提唱するほど急激なものではなかった。例えば腕足動物は1990年代の発見によると白亜紀まで生き延びた。三畳紀末以前の繁栄とは打って変わって複数の分椎目のグループは三畳紀末に絶滅したが、彼らの絶滅がどれほど三畳紀の終わりに近い時期であったかは定かではない。既知の最後のメトポサウルス科(英語版)であるコスキノノドン(英語版)はレオドンタ累層(英語版)から産出しており、この層は前期レーティアンあるいは後期ノーリアンに相当する可能性がある。既知の最後のプラギオサウルス科(英語版)であるゲロトラックスはおそらくレーティアンに相当する岩石から発見されており、カピトサウルス類(英語版)の上腕骨も2018年にレーティアンの堆積層から発見された。これゆえ、プラギオサウルス科とカピトサウルス類は三畳紀のごく末に絶滅した可能性が高く、他の分椎目の大半は既に絶滅していたと考えられている。 陸上爬虫類の動物相は三畳紀の間には主竜様類が支配的で、特にフィトサウルス類と偽鰐類(現代のワニに繋がる爬虫類の系統)のメンバーが繁栄していた。前期ジュラ紀以降では恐竜と翼竜が最も一般的な陸上爬虫類となり、小型爬虫類は主に鱗竜形類(トカゲやムカシトカゲの親戚)に代表された。偽鰐類で三畳期末までに絶滅しなかったものは小型のワニ形上目のみで、支配的な植物食のグループ(アエトサウルス目(英語版)など)や 肉食の1グループ(ラウイスクス科)は絶滅した。植竜類、ドレパノサウルス科(英語版)、トリロフォサウルス科(英語版)、タニストロフェウス科(英語版)、プロコロフォン科(英語版)は後期三畳紀にありふれた爬虫類であったが、彼らもジュラ紀の始まりまでに絶滅を迎えた。しかし、三畳紀最後の期であるレーティアンとジュラ紀最初の期であるヘッタンギアンは大型陸上動物の化石がほとんどなく、これらの陸上爬虫類のグループそれぞれの絶滅の正確な時期を確定させることは難しい。後期三畳紀に絶滅したことが知られている様々なグループのうち、T-J境界の近くに相当すると考えられている化石が産出したものは、フィトサウルス類、プロコロフォン科、そしておそらく基盤的なパラクロコダイリモーファ(英語版)のみである。他のグループはさらに早期に絶滅した可能性がある。結果的にはT-J境界を境に、主要な陸上生態系のニッチの大部分を恐竜が占めることになった。
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