相似と相同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:22 UTC 版)
進化の証拠は化石だけではなく、現生生物の形態を比較することからも得られている。たとえば陸上脊椎動物は外見上非常に多様であり、コウモリや鳥のように飛翔するものまで含まれる。それにもかかわらず、すべて基本的には同一の骨格を持ち、配置を比較することで相同(進化的な由来を同じくする)な骨を特定することができる。このことは、陸上脊椎動物が単一の共通祖先を持ち、祖先の形態を変化させながら多様化してきたことを示している。それぞれの種が独立に誕生したとしたら、鳥の翼と哺乳類の前脚のように全く機能の異なるものを、基本的に同一の骨格の変形のみで作る必然性はない。 機能が異なっていても由来と基本的構造を同じくする相同とは逆に、由来や構造の異なる器官が同一の機能を果たし、類似した形態を持つことを相似という。たとえばコウモリと鳥、翼竜はどれも前肢が翼となっているが、翼を支持する骨は大きく異なっている。鳥は羽毛によって翼の面積を大きくしており、掌や指の骨の多くは癒合して数を減らしているのに対し、コウモリは掌と指の骨を非常に長く発達させて、その間に膜を張ることで翼を構成している。その一方で、翼竜の翼は極端に長く伸びた薬指1本で支持されている。これは、翼を持たなかった共通祖先から、翼を持つ系統がそれぞれ別個に進化してきた(収斂進化)と考えれば合理的に理解できる。
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