降格処分に至る実態と処分理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 14:37 UTC 版)
「日本ボクシングコミッション事件」の記事における「降格処分に至る実態と処分理由」の解説
2011年4月24日の時点で、東日本ボクシング協会の理事会では怪文書の問題をJBCの内紛と判断して静観の姿勢をとっており、同月26日頃の時点でB1は怪文書の問題について安河内に5パーセントの減給処分を考えていたのであって、同年5月16日の理事会でも安河内が怪文書の問題で混乱を起こしたことが就業規則違反に当たるなどといった議論は全く出ていなかったが、通告書や連判状の提出を受けてB1・B2が協議した結果、調査委員会を設置して真相究明せざるをえないと判断し、同月12日の協議会でB2がB1の示達として職員らに対し、安河内を1か月の休職とし、B2を事務局長代行とすることを伝え、調査委員会を立ち上げて調査を行うことを説明している。 このように通告書や連判状で求められた真相究明のための調査をJBCが実施することになったにもかかわらず、B11やB5らは、JBCによる調査を踏まえた判断には必ずしも従わない態度を示し、試合役員のライセンス返上の可能性を示唆しつつ安河内に対して自ら辞任を決めるよう迫り、立て続けにJBCの対応が中立性を欠くとする書面や安河内の従来の言動を批判する書面等を各方面に提出し、2011年5月31日には調査委員会による調査や安河内の不正経理疑惑についてマスメディア等に対して意見表明し、同年6月10日には休職明けの安河内に対して事務局長代行補佐を命ずるとの示達がB1から出されたにもかかわらず、これにB5らが強く反発し、安河内が出勤できない状態を継続させている。これらの事実経過によれば、当時のJBCでは通告書や連判状の要望を受けて手続を踏んで問題を解決しようとしたものの、手続を無視したB11やB5らの安河内排除へ向けた強硬な態度を適切に制することが全くできない状況に陥っていたものと認められる。 調査委員会による調査結果が明らかにされる直前の2011年6月23日にはB4・B11らがマスメディア向けの記者会見を開き、JBCに代わって国内試合を統括する新団体の設立等の意向を表明した結果、分裂の危機と報道されている。この新団体設立について、B11はあくまで試合運営のための暫定的なものであるなどと述べるが、試合役員各位に宛てたB11名義の2011年6月23日付の文書に、B2および安河内の排除を条件にJBC体制堅持の要請があれば現行のJBC体制を維持することについて検討をすると明記されている以上、B2および安河内がJBCから排除されない限り、別の新組織体制を維持していく意向であったことは明らかであるから、設立しようとする新団体が暫定的なものであるとのB11の証言は採用できない。 安河内に対し本部事務局長の職を解く降格処分までする必要性は見出しがたく、B3本人尋問の結果、証人B4・B11・B2の証言その他全証拠によっても合理的な必要性があるものとは認めがたい。「なお、本件調査委員会において不相当と判断された労務管理に関する2点については、[略]何らの理由もなく行われたものとまでは認められず、かつ、雇用契約の不利益変更後も被告とB6との雇用契約は継続しているところ、[略]B4及びB5が権限を有しないにもかかわらず正当な理由なくA3に対し解雇を通知した行為については、被告はB4及びB5に対し口頭で注意するのみで終わらせているのであるから、B4及びB5に対する被告のこのような態度に照らせば、上記の労務管理に関する2点を主たる理由として本件降格処分をすることは、著しく不均衡であり、重きに失するというほかない。 そして、被告は、本件降格処分に続けて本件減給処分及び本件配転命令等を行い、原告を被告の中心的業務から実質的に排除したと評価し得る対応をとっているところ、[略]本件降格処分につき合理的な必要性を見出しがたいことに加え、本件降格処分に至るまでの状況[略]を考え併せれば、被告は、B11らによる新団体の設立を阻止して被告の分裂を回避するため、本件降格処分を本件配転命令等と併せて行い、もって、原告の排除を求めるB11らの要求に実質的に応じたものと評価せざるを得ない。」 「本件降格処分は、B11らによる新団体の設立を盾にした要求に対し、被告が分裂を回避するために、B11らの要求を受け入れ、原告を被告から実質的に排除することを主たる目的として行ったものと認めるのが相当であり、人事権の適切な行使によるものとは認められないというべきである。 よって、本件降格処分は、被告の人事権の濫用に当たると認めるのが相当であり、違法、無効である。したがって、原告は、本件降格処分がされた平成23年6月28日以降も、被告の本部事務局長たる地位を有し、かつ、月額基本給[略]の支払を受ける地位を有するものと認められる。」
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