長期管理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 02:53 UTC 版)
喘息のガイドラインとして、国際的に最も信頼されているのは、WHOによるThe Global Initiative for Asthma (GINA)である。Evidence-levelの高い優れた最新の文献を基に、数年毎にアップデートされている。世界中の国・地域において、各々のローカルな喘息ガイドラインが存在するが、多くは、このGINAを参考に作成されている。他に、国際的に知られている喘息のガイドラインとして、米国喘息管理・治療ガイドライン(EPR3)がある。日本では、主に、日本アレルギー学会が作成するガイドライン(JGL)が用いられ、成人喘息の診断の目安が記載されている。 喘息に特徴的な症状 発作性の呼吸困難、喘鳴、夜間や早朝に出現しやすい咳。 可逆性気流制限 自然にあるいは治療により寛解する気流制限が認められる。PEF(ピークフロー)値の日内変動が20%以上、β2刺激薬吸入によって1秒率が12%以上増加、かつ絶対量で200ml以上の増加が認められる。 気道過敏性の亢進 アセチルコリン、ヒスタミン、メサコリンに対する気道収縮反応の亢進が認められる。気道過敏性を認める疾患は喘息だけではなく、咳喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、鬱血性心不全、ウイルス性呼吸器感染後などでも認められる。 これらによって気管支喘息と診断をしたら、長期管理を開始する。なお、発作中であったら発作の治療を優先する。長期管理の方法はガイドラインによってわずかな差異があるものの基本はほとんど同じであるためGINA2006に基づいて説明する。なおICSは吸入ステロイド、LABAは長期作用型β2刺激薬、LTRAはロイコトリエン受容体拮抗薬である。 薬物療法ステップ1ステップ2ステップ3ステップ4ステップ5第一選択 なし 低用量ICS 低用量ICS+LABA 高用量ICSプラスLABA 経口ステロイド オプション なし なし 高用量ICSまたはLABAの代わりにLTRA LABAの代わりにLTRA なし GINA2006では治療目標である良好なコントロールに関して問診によって評価できるとしている。 日中に週3回以上症状が出現 喘息によって日常生活によって制限がある 夜間に喘息症状のために早朝おきることがある 症状を抑えるために気管支拡張薬を週に3回以上使用 ピークフローが自己最高値もしくは予測値の80%未満 喘息増悪発作が過去1年に1回以上ある 上記の6項目のうち3項目以上に該当したらコントロール不良であり、ひとつでも該当すればコントロール不十分、また喘息増悪発作が最近認められたらそれだけでコントロール不十分とする。3ヶ月ごとに治療効果判定を行い、コントロール良好群であれば、ステップダウンし、コントロール不良群であればステップアップする。コントロール不十分が持続する場合もステップアップを検討する。 JGL2006ではステップ1が症状によって規定されており、その症状にコントロールするようにコントローラーを決定する。ステップ2のコントローラーでステップ2の症状が認められればコントロール不良でありステップ3にステップアップする。
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