銅造誕生釈迦仏立像及び灌仏盤
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「東大寺の仏像」の記事における「銅造誕生釈迦仏立像及び灌仏盤」の解説
国宝。奈良時代。像高47.5センチ。灌仏盤径88.7 - 89.2センチ。東大寺ミュージアム所在。誕生釈迦仏とは、釈迦が生まれてすぐ7歩歩んで、両手でそれぞれ天と地を指し、「天上天下唯我独尊」と言ったという伝説を造形化したもの。日本の仏教寺院では、釈迦の誕生日とされる4月8日に灌頂会(かんじょうえ、別名は降誕会、花祭りなど)という行事が行われ、その際に誕生釈迦仏に五種の香水(こうずい)を注ぐ風習がある。本像は銅製鍍金で、同じく銅製の灌仏盤(誕生仏に注いだ香水を受けるもの)と一具で国宝に指定されている。誕生釈迦仏の像は通常、像高10センチ前後の小像が多いが、本像の像高は47.5センチである。本像の面相は大仏殿前に立つ金銅八角燈籠(奈良時代)に浮彫りされた菩薩像のそれと似ており、本像も大仏や八角燈籠と同じ頃、すなわち8世紀半ば頃の作とみられる。誕生釈迦仏としては大作であることから、本像は天平勝宝4年(752年)の大仏開眼会に際して制作されたものとする説と、聖武天皇の一周忌以降の制作とする説がある。天を指す右腕は前膊の半ばに継ぎ目があり、そこから先は後補である。像は像高の割に重量が大きく、像内には鋳造時の中型(なかご)の土が詰まったままになっていると推定される。腕や体部には肉のくびれを明確に表し、幼児の体形を表現している。像の足下の木製台座は後補のものだが、像とともに伝わる銅製灌仏盤は一具の奈良時代のものである。盤の立ち上がり部分には、魚々子地(ななこじ)に簡略なタッチで種々の図柄を彫り表している。表されている図柄には、山岳、雲、草花、樹木、鳥、蝶、獣(獅子、麒麟など)、童子、飛仙などがある。
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