鉄道事業者の姿勢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 20:14 UTC 版)
「日本の女性専用車両」の記事における「鉄道事業者の姿勢」の解説
東武鉄道のように要望の少なさを挙げたり、東京地下鉄のように混雑均等化の観点から導入に消極的な事業者が存在した。交通新聞に対してコメントした事業者の指摘した問題点としては、通勤客が乗降駅の階段に集中する朝ラッシュでは混雑の平準化が損なわれる事、保有編成が多く特定車両を専用車に指定しづらい事、相互直通運転を行っている路線での車両位置の調整が難しい事、などが挙げられていた。事業者の中では導入に積極的であった京王電鉄も、混雑の激しい事や単独実施の困難性から2005年の一斉拡充までは朝ラッシュなどでの設定を躊躇した旨を述べている。また、西日本旅客鉄道(JR西日本)は、京阪神の在来線(京阪神緩行線、大阪環状線など)に女性専用車両を導入したが、逆に、これらの線を雁行している列車で、女性専用車両の設定の無い列車(新快速、快速など)では、逆に痴漢被害が増加し、警察が導入を要望したものの、JR西日本は編成の多様性を理由に断ったという。また設定を縮小する事業者がある。 ステッカーの大きさも事業者によっては差が見られる。東京急行電鉄は貫通路の窓の周囲にもステッカーを複数枚貼付して強調している。京浜急行電鉄はホームに貼付するステッカーを他社に比べて小さいものを使用している。京成電鉄と京浜急行電鉄では車両のステッカーを女性専用車両を実施する時間帯に限り貼付し、終了したら外すという事を行っている。なお、東日本側の事業者はステッカーを窓ガラスに、西日本側の事業者は車体(戸袋部分)に貼り付けていることが多いが、神戸市交通局のように両方に貼り付けている事業者も存在する。 一方で、京王電鉄のように痴漢対策に積極的に取り組んでいる事をアピールする事業者もある。同社は「よくいただくご意見」に痴漢対策を挙げている。また、2005年に関東地方で拡充が行われた際には、長い経験により培ったノウハウがあるという理由で、同業他社から問い合わせが相次いだ。こうした事業者の場合、社会・環境報告書で女性専用車両の導入を記載している事がある。また、西武鉄道は事業者の中でいち早く女性専用車両限定の広告を企画し、テレビ番組とタイアップして痴漢撲滅のPR電車を運行した事がある。2007年6月の株主総会では痴漢冤罪防止の立場から一部株主が専用車以外の車両へ監視カメラの設置を提案したが、同社は百数十億のコストと混雑時の有効性への疑問を理由に拒否した。
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