選挙戦後の動き
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 05:57 UTC 版)
2016年アメリカ合衆国大統領選挙に勝利してオバマ政権と交代したアメリカのドナルド・トランプ大統領は選挙中に米中貿易の不均衡を問題視し、当初は一つの中国政策の見直しも示唆していたものの、大統領就任後の中国の習近平国家主席(総書記)との電話会談では、一転して「一つの中国」政策を尊重すると表明した。これには米中関係への影響を懸念したジャレッド・クシュナー大統領上級顧問 とレックス・ティラーソン国務長官によるトランプ大統領への説得があったとされる。中国から称賛 された春節での祝電もトランプ大統領にティラーソンが提案したとされている。ただし、トランプは出馬当初や選挙中から貿易問題を取り上げながらも中国に好意的な発言も行っており、大統領選勝利後もトランプは声明で中国からの祝電に感謝して「今後両国は最も強固な関係を築きたい」と述べたと発表した。過去に天安門事件を正当化したかのような発言をテレビ討論会で追及された際に中国政府は「暴動」を押さえ込んだという表現を使ったことで、天安門事件でリーダー格だった王丹、魏京生 やウイグル人ウーアルカイシ といった著名な中国民主化運動家から「まるで中国共産党の指導者」「中国共産党による抑圧に反対する者への侮辱だ」「アメリカの価値観の敵」として抗議を受けていた。また、トランプ大統領の顧問で親中派 で知られる大統領戦略政策フォーラム議長 のスティーブ・シュワルツマンはトランプが中国批判を緩める可能性を示唆していた。中国側もトランプの大統領就任後はその愛娘であるイヴァンカ・トランプと孫のアルベラを春節に駐米大使館に招くなどトランプの懐柔を試みるかのような動きに出ていた。 2017年2月10日の安倍晋三内閣総理大臣との日米首脳共同記者会見でも「昨日、私は中国の習主席と様々な問題について非常に温かい良い会話をした。我々はこれからうまくやっていけると思う。それは日本にも非常に有益だと思う。日米中にも地域全体にも非常に良い結果をもたらすと信じる」と述べた。 2017年2月18日に訪中したティラーソン国務長官と王毅外相との会談でも「一つの中国」政策の堅持で一致し、会談後の共同記者会見では朝鮮半島の緊張が非常に高くなっていて「事態はかなり危険なレベルに達している」との認識を米中両国が共有し、「中国との協力を決意した」と述べた。19日には、習近平総書記と人民大会堂で会談した。この際に習近平政権がオバマ政権時代から米国に提案してきた「新型大国関係」(衝突・対抗せず、相互尊重し、Win-Winで協力する原則)にティラーソン国務長官は事実上同意して多くの観測筋を驚かせた。28日、訪米した中国の外交担当国務委員の楊潔篪とワシントンでティラーソン国務長官は会談し、高官同士の定期対話が重要であるとの認識で一致した。また、楊とティラーソンはその後に行われた米中首脳会談の最終調整も行った。
※この「選挙戦後の動き」の解説は、「米中関係」の解説の一部です。
「選挙戦後の動き」を含む「米中関係」の記事については、「米中関係」の概要を参照ください。
- 選挙戦後の動きのページへのリンク