運航会社の状況とKAZU Iの過去の事故について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 18:05 UTC 版)
「知床遊覧船沈没事故」の記事における「運航会社の状況とKAZU Iの過去の事故について」の解説
KAZU Iは、斜里町の有限会社知床遊覧船による運航である。同社は2001年(平成13年)3月に設立され、2016年(平成28年)に取締役が交代し、2018年の時点で斜里町でホテルなどを運営する「しれとこ村グループ」に属する。事故発生後、家族に対する説明会は25日から1日3回行ったが、同社の代表者は初回の説明会に出席しただけで、記者会見の開催を呼びかけても応じず、ようやく27日の16時40分ごろから会見を開いた。 同社はここ2年ほどで船長が頻繁に入れ替わるなどしており、操船経験が豊富なベテランの船長や、整備・運航ノウハウに熟知するスタッフが少なくなっていたという。2021年(令和3年)3月までに人員整理方針に意見が合わなかったスタッフ5人が退職し、今回の沈没事故で行方不明となっている54歳の船長Aを含む3人の船長が採用された。それ以降、同社の船が岸に近づきすぎたり、定置網の近くを通ったりする様子が目撃されており、「操船技術が未熟」と指摘されていた。 同年5月、KAZU Iは操船技術の未熟さによると見られる漂流物との衝突事故を起こしており、衝突の衝撃でベンチが外れ3人が怪我をする事態となった。また、6月11日にはウトロ漁港近くの浅瀬に乗り上げる座礁事故を起こしており、この際は自力で離礁したため乗員2人、乗客20人に怪我はなかった。船長Aは座礁事故の際にも乗務しており、業務上過失往来危険容疑で書類送検されているが、実際に操船していたのは別の船長だった。結果、採用された3人の船長のうち2人が事故を起こした形となり、残った船長Aに同社の船の対応が集中することになった。2021年当時に甲板員として働いていた人物によれば、知床遊覧船の社員は社長を除くと船長Aのみであり、他の船長や甲板員は宿泊施設の従業員で、しかも運行期間のみの期間社員だったという。 2001年7月6日 (有)知床釣遊覧船に対する旅客不定期航路事業の許可。 2005年12月15日 (有)知床遊覧船へ社名変更(届出)。 2017年4月7日 代表者の変更報告(「しれとこ村」グループによる買収)。 2020年7月4日 斜里町ウトロ漁港内にて、知床遊覧船が運航する観光旅客船「KAZU III」と、観光旅客船「カムイワッカ55」が衝突。 2021年5月15日 「KAZU I」の船首が漂流しているロープの塊に接触し、乗客3名が軽傷。 2021年6月11日 「KAZU I」が浅瀬に乗り上げたが、負傷者等はなく、自力航行により帰港。 2021年6月24・25日 北海道運輸局が海上運送法及び船員法に基づき、知床遊覧船に対する特別監査を実施、見張り不十分について指導。 2021年7月9日 同社より北海道運輸局に見張り強化に関する報告。 2021年7~8月 「KAZU I」について、6月の事故による損傷個所の修理後、日本小型船舶検査機構(JCI)による臨時検査を受検。 2021年7月20日 安全管理規程の遵守等、輸送の安全確保に関する指導。 2021年7月30日 知床遊覧船が北海道運輸局へ改善報告。 2021年10月13日 北海道運輸局職員が事前の連絡無く本船及び事務所を訪問し、改善内容について確認。 2022年4月20日 旅客船「KAZU I」について、JCIによる中間検査を受検、通信設備を船舶衛星電話から携帯電話に変更。 2022年4月23日 旅客船「KAZU I」海難事故発生。 2022年4月24日~ 知床遊覧船に対する特別監査を実施中。
※この「運航会社の状況とKAZU Iの過去の事故について」の解説は、「知床遊覧船沈没事故」の解説の一部です。
「運航会社の状況とKAZU Iの過去の事故について」を含む「知床遊覧船沈没事故」の記事については、「知床遊覧船沈没事故」の概要を参照ください。
- 運航会社の状況とKAZU Iの過去の事故についてのページへのリンク