逗子の住人
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宇多川 朱美(うだがわ あけみ) 崇の妻。27歳。祝言も入籍もしていないので正式には夫婦ではなく、所謂内縁の妻の関係。8年前に記憶を失い利根川を流れてきたところを宇多川に救助され、彼の調査で記憶を取り戻した後で夫婦となる。 身辺をうろつく元憲兵から逃れて転居を繰り返し、3、4年程前に逗子の葉山側へ引っ越してきた後、先夫の殺害記事を目にしたのをきっかけに自分が骨になる悪夢を見るようになり、さらには行ったはずのない千葉県九十九里の一松海岸で生まれた他人の記憶まで蘇る。様々な怪現象に悩まされた末に「飯島基督教会」へ相談に現れる。 宇多川 崇(うだがわ たかし) 小説家。幻想小説の大家。57歳。関口曰く「乱歩の蘞味と鏡花の品格を併せ持ち、虫太郎の魔境に露伴を遊ばせる」ような独特の作風で高い評価を得ている。文化藝術社主催「本朝幻想文学賞」創設にも尽力した。大柄で貫禄はあるが、太ってはおらずどこか神経質で危なっかしい印象を与える。 故郷の埼玉県本庄に住んでいた8年前、利根川で溺れていた朱美を助け、記憶を取り戻すために尽力し、そのまま惚れ込んで後妻に迎えた。しかし逗子に越してからは妻が記憶を過剰に取り戻してしまい、妻の様子がおかしいことを関口に相談し、二人を介して榎木津に8年前の佐田申義殺害の真相解決を依頼しようとしていたが、その翌日に殺害される。 4年程前に執筆した「井中の白骨」は、平田篤胤の勝五郎再生記聞と番町皿屋敷を足したような作品で、昭和23年が舞台の『中禅寺先生物怪講義録』の1話でも書籍が登場している。 降旗 弘(ふるはた ひろむ) 飯島基督教会の居候。元精神科医。木場とは幼馴染みで榎木津とも面識があった。幼児体験のトラウマを解消するべくフロイトの精神神経医学を学んだが、逆に激しい自己嫌悪に陥っている。 白丘 亮一(しらおか りょういち) 飯島基督教会の牧師。出身は石川県羽咋。伝導者と云うよりは宗教歴史学者に近く、特に基督教史に就いては博覧強記であり、説教より講義が得意で弁も立つ。新教徒ではあるが聖書主義には批判的で、三位一体に就いては特に否定的。大戦の時は入営したものの訓練中に銃の暴発事故で脚を負傷して除隊することになり、戦場へは送られなかった。 はっきりとした信仰を持つことができずに苦悶している。また、少年期のとある体験がトラウマになっており、髑髏と神主に恐怖心を抱く。金色髑髏事件の周辺で目撃されていたため、警察にマークされる。 一柳 史郎(いちやなぎ しろう) 宇多川の隣人。妻と二人暮らし。朱美は夫人に良く世話になっている。 文覚(もんがく) 逗子の外れの檀家も墓もなく本尊もない寺、聖宝院文殊寺の住職。顔の下半分を白い髭で覆われた、木乃伊か即身仏のような異相の老人。
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