軍の拡張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 14:22 UTC 版)
「南オセチア紛争 (2008年)」の記事における「軍の拡張」の解説
2008年になって以降、グルジアとロシアは互いに相手が戦争準備を進めているとの非難を始めた。2008年4月、ロシアは、グルジアがアブハジア東部のコドリ渓谷に1500名もの兵士と警官を動員し、アブハジアに侵略しようとしている、との見解を発表した。ロシアは、グルジアのそのような行為は南オセチア地域でも動乱の原因になるだろう、とも語った。それに対してグルジアの内閣報道官であるShota Utiashviliは「グルジアが軍を増強したという事実は一切無い。ロシアの声明は率直に言って間違いだ」と発表した。後のことになるが、国際連合グルジア監視団(UNOMIG)は、コドリ渓谷及びアブハジア周辺での軍備増強は、ロシア・グルジア双方ともに無かったと発表している。 同じく4月、ロシアはアブハジアの平和維持軍を、数百のパラシュート部隊を投入して2,542人にまで増強した。ただし、1994年の独立国家共同体首脳会議時の取り決めに基づいて、3千人以内には抑えている。ロシアの外交部長セルゲイ・ラブロフは「ロシアはまだ戦争準備ができていないが、攻撃されれば報復することになるだろう」との声明を発表した。EUの外交政策部長ハビエル・ソラナも「たとえ取り決めの範囲内であろうとも、我々はこの地で緊張が高まるのを望んではおらず、現時点で兵力を増やすのは賢明な判断とは言えない」との声明を発表した。 その後、グルジアはロシア軍がアブハジア上空を飛行するグルジアの無人偵察機を打ち落としたとして非難を表明した。しかしロシアはこの問題への関与を否定し、アブハズ人の反政府組織によるものだろうと答えている。グルジアの内務長官がイギリスBBCのビデオ録画に公式な立場で参加して、ロシア軍がアブハジアで公然と軍を展開したとの談話を発表した。グルジア側は「ロシア軍の動きを見れば、彼らが平和維持軍とは程遠いものだとすぐに分かる」と反論し、さらにロシアはその見解を否定した。南オセチアに軍事機を飛ばしたことに対して、双方が停戦合意違反だと批判しあった。 2008年の6月から8月初旬にかけて、両国は共に軍事演習を行っている。グルジアはアメリカと共に2008年初頭演習 (Immediate Response 2008) を行い、ロシアはコーカサス軍事演習 (Caucasus Frontier 2008) を行っている。それぞれの演習が終わった8月2日にも、ロシア軍は自国に戻らずにグルジア国境に居座り続けた。 8月5日、ロシア大使 (Ambassador at Large) のユリ・ポヴォフ(Yuri Popov)は、同地域で緊張が高まっているとの談話を発表した。 駐ロ南オセチア大使のドミトリー・メドイェーェフ (Dmitry Medoyev) はモスクワに対し、北オセチアを中心とする義勇兵が続々と南オセチアに集まりつつあると公表した。 ロシアNGOである軍事技術総合研究所 (Centre for Analysis of Strategies and Technologies) 発行の英文雑誌『モスクワ防衛の真実』 (Moscow Defense Brief) は「8月初旬、グルジア軍は秘密裏に、南オセチア紛争地帯にあるグルジア支配下の飛地に多くの軍事力を集めつつあった。グルジア軍が投入したのは第2、第3、第4歩兵旅団全部と砲兵旅団、第1旅団の一部、ゴリ戦車大隊、あわせると軽歩兵大隊9、戦車大隊5、大砲大隊8、その他特殊部隊であり、兵力1万6千名である」と報じている。
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