超越瞑想への批判と賞賛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 14:56 UTC 版)
超越瞑想は、過去60年間に賞賛されたり、批判されたりしてきた。アメリカの世論調査によると、1970年代後半にはアメリカ人の4%が超越瞑想を行っていたが、その後超越瞑想の人気は揺らいできて、カルト的なものではないかと思われ始めた。宗教者サイドからの批判もあり、インドの宗教者・神秘思想家のバグワン・シュリ・ラジニーシは、マントラを繰返す超越瞑想は、いわば音の鎮痛剤、自己催眠であり、実践者を少しリラックスさせ、不眠症の改善などには役に立つだろうが、瞑想ではなく、実践者に変容をもたらすことはないと批判した。1979年には、ニュージャージー州で超越瞑想を公教育に導入されたが、これが政教分離の原則に反するとして裁判が行われ、敗訴している。(参照:#アメリカの公教育への導入)この時点で公教育への正式な導入は阻まれている。 その後、2005年に学校教育への超越瞑想が普及を目指し、映画監督のデヴィッド・リンチによりデヴィッド・リンチ財団が設立された。リンチ財団は、同財団からの助成金を受けて、2008年までにアメリカだけでも2000人以上の教師と生徒が超越瞑想を学んだと報告している。それと同時に超越瞑想の学校導入に反対する声も高まり、2008年9月のニューズウィークでは、アメリカの公立校での「超越瞑想」実施の是非をめぐり、全米で議論が沸騰していると伝えられた。生徒の保護者の一部とキリスト教系のNPOは、超越瞑想の公教育への導入は政教分離の原則に反すると抗議した。 それに対して、超越瞑想を支持する人々は、超越瞑想は宗教ではなく、科学的に効果が実証されたリラクセーション法であると主張している。(彼らはその主張を正当化するために、最近の研究をあえて無視しているという指摘もある。)科学的根拠のあるストレス解消法と考え歓迎する親もいたため、その後も超越瞑想は一部の学校で行われた。アメリカでは、2015年時点で18の学校が超越瞑想を採用しており、教育への導入に反対する意見は依然としてあるが、最近では学校導入に反対する声も少なくなったという意見もある。 学校以外にも、デヴィッド・リンチ財団は、刑務所、退役軍人、HIV患者に超越瞑想を提供しており(参照:#導入事例)、一部の著名人がはそうした活動を支援している。「フォーブス」Web版の外部ライター(Contributor) のAlice G. Waltonは、2015年4月のWeb版の記事で、現状について「以前は超越瞑想をカルトと関連づける人もいたが、この10年で、超越瞑想は人々の敬意と賞賛を取り戻した」と評した。 また、マハリシは多様な顧客にアピールするために、それぞれに合わせて多数の団体を設立した。こういったマーケティング手法により、超越瞑想運動は「商業化された社会運動」とも呼ばれた。
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