超伝導磁石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/19 15:15 UTC 版)
アルゴンヌ国立研究所には、直径4.8メートルで1.8テスラの磁場を発生するニオブチタン合金製の超伝導磁石を備えた泡箱が設けられている。 フェルミ国立加速器研究所にあったテバトロン加速器のメインリング (周長4マイル) には、約1000個のニオブチタン合金製超伝導磁石が用いられていた。 この超伝導磁石には17トンのニオブチタン合金線を含む50トンの銅線が巻かれ、動作温度4.5 Kで最大4.5テスラの磁場を発生させていた。 1999年にブルックヘブン国立研究所に設置されたRHICには全長3.8キロメートルの二重蓄積リングが設けられ、1740個のニオブチタン合金製超伝導磁石が発生する3.45テスラの磁場で重イオン線を周回させている。 CERNが運用している大型ハドロン衝突型加速器 (LHC) には1200トンの超伝導線が使われており、そのうち470トンがニオブチタン合金である。動作温度は1.9 Kで、最大8.3テスラの磁場を発生させている。 国際宇宙ステーションに搭載されたアルファ磁気分光器にも液体ヘリウムで冷却されるニオブチタン合金製超伝導磁石が使われていたが、後に常伝導磁石に交換された。 国際協力で建設されている核融合実証炉ITERのポロイダル磁場コイルにもニオブチタン合金が使用されている。2008年には、試作コイルが動作電流52キロアンペア、発生磁場6.4テスラで安定動作を達成した。 ドイツのヘリカル型核融合実験炉ヴェンデルシュタイン7-Xにもニオブチタン合金製超伝導磁石が使われている。
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超伝導磁石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/03 17:45 UTC 版)
超伝導磁石を用いた装置はかなり大掛かりなものとなる。電磁石の本体であるコイルの線材として強磁場下でも超伝導状態を保つことができる第二種超伝導体であるニオブとチタンの合金(7008300000000000000♠300 MHz以下)やニオブとスズの合金(7008800000000000000♠800 MHz以下)が使用される。コイルの総重量は数百kgに達するため、設置場所の床はかなり頑丈である必要がある。コイルの軸は鉛直方向となっているため、磁場の方向も鉛直方向となる。コイルは液体ヘリウムの入ったデュワー瓶の内部に置かれ、液体ヘリウムの沸点(7000420000000000000♠4.2 K)以下に保持される。この液体ヘリウムデュワー瓶はさらに、液体窒素を充填したデュワー瓶の中に入れられて外部からの熱伝導を防ぎヘリウムの蒸発を抑制している。このような二重構造にする理由の一つは、液体ヘリウムの気化熱が同じ体積の液体窒素と比べて約7000100000000000000♠1/60と極めて小さく液体ヘリウムだけだと蒸発速度が速くなるからである(液体ヘリウムの気化熱は6978139485360000000♠0.084 kJ/mol(7000421600000000000♠4.216 K, 7005101325000000000♠760 Torr)、密度は7002125500000000000♠0.1255 g/cm3(2997731120000000000♠−268.88 °C = 7000428000000000000♠4.28 K)。液体窒素の気化熱は6979926581320000000♠5.58 kJ/mol(7001773400000000000♠77.34 K, 7005101325000000000♠760 Torr)、密度は7002808400000000000♠0.8084 g/cm3(2997804220000000000♠−195.78 °C = 7001773800000000000♠77.38 K)。ゆえに体積当たりの気化熱は、液体ヘリウムが7006263000000000000♠2.63 J/cm3、液体窒素が7008161000000000000♠161 J/cm3となる)。また液体ヘリウムは液体窒素に比べて高価であることも理由の一つである。液体窒素は空気の冷却で作られるため資源としては無尽蔵と言えるが、一方でヘリウムは天然ガスから供給される有限な天然資源の一つである。 液体ヘリウムも液体窒素も蒸発して失われていくため定期的に補充する必要がある。特に強力な磁場を発生させる超伝導磁石は、ヘリウムの沸点(4.2 K)では臨界磁場が不十分なため、液体ヘリウムをわずかに減圧して気化させて蒸発熱を奪い、超流動転移点 (7000210000000000000♠2.1 K) 以下まで冷却して臨界磁場を高めている。 また比較的磁場が小さい装置では装置周囲への漏洩磁場を抑えるために遮蔽マグネットを付けたものがある。これはメインのマグネットとは逆向きの弱い磁場を発生させてマグネット外の磁場を抑えるためである。 さらに、最近では、磁石にヘリウムの液化器を有し、冷媒である液体窒素、液体ヘリウムの再充填を不要にした、いわばゼロ・ボイリングオフタイプの磁石も登場した。また、液体ヘリウムが不要で冷凍機で冷却が可能な高温超伝導バルク磁石を使用した機種で7000470000000000000♠4.7 Tの磁石が登場している。 高温超伝導体であるイットリウム系高温超伝導線材(YBCO)を用いると従来に比べて高い電流密度が得られるので磁石をずっとコンパクトにでき、これまで不可能であった1GHz(23.5T)を超える磁場を持つNMR装置が可能になる。
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