起源と現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/01 16:32 UTC 版)
昭和20年代、タクシー強盗が横行した頃に、乗務員を強盗から守るため、赤く点滅する「防犯灯」が取り付けられたのが始まりである。当初は単に電球をカバーで覆っただけのものであった。 1954年、武内工業所の初代社長、武内金弥がこれに社名を入れてはどうかと、社名入り防犯灯を考案し、現在の社名表示灯に至る。ぼんやりと光った社名灯が行灯のように見えることから、「あんどん」と呼ばれるようになった。 側面広告を付けた社名表示灯のタクシー(日産・セドリック、東京無線・飛鳥交通(当時)) 縦長社名表示灯のタクシー(クライスラー・PTクルーザー、舞浜リゾートキャブ) 現在では識別性の向上のため、大型のもの、複雑な形状のもの、屋根の横幅いっぱいに広がったものも増えている。また、広告収入を得るため、縦長とし、側面に広告を付けたものも見られる。なかには覆面パトカーの反転式警光灯のように、スイッチひとつで格納できる社名表示灯(ちょうちん)を備えた個人タクシーも存在する。 社名表示灯内の光源は一般的には白熱電球(ほとんどの製品では12V 10W G18球 BA15s口金のものを採用)を数個(うち1個は赤塗装)使用するが、光源の長寿命化や消費電力の削減によるオルタネーターやバッテリー負荷の軽減(ひいては省燃費化)、夜間の視認性を向上させる目的でLED光源を用いる事業者もある。白熱電球で電球色でない場合に着色電球や別途カバーをかぶせるために生の電球色のものより光量が劣るという問題があったが、LEDの場合は緑や青等発光色が白色ではないものを採用しても白熱電球ほどは光量を落とさずに済む側面もある(なお、LEDにカバーをかぶせる事業者も存在する)。 形状の殆どは、種々のタクシー会社の意匠をアクリル樹脂で成型したものである。社名灯メーカーがカタログに掲載する形状から選択する場合が多い。このため、営業エリアが全く別で資本関係やグループ関係も全くない事業者同士が同じ形状の社名灯を使用していることもよくある。また、全高の高い車種の場合、車のルーフトップに設置した場合に車庫の天井に接触する等の事情からフロントガラス上部に設置するための社名表示灯もあり、それらは設置位置の傾斜にあわせ表記内容や形状に工夫がなされている。ただし、車両後方から視認できなくなる(実車・空車の識別はまだしも、非常時の赤い点滅が後方から視認できなくなる)ことから、後方用に別途小型の社名表示灯(光源は主に12V 5W T10ウェッジ球を採用)を設置したり、同様に本来の意味での防犯灯(透明なルーフウインカー用灯具を流用し赤い電球をセットしたもの)を後方に設置する場合も多い。 車両の前後に社名表示灯を設置した例(トヨタ・ジャパンタクシー、チェッカーキャブ・境交通) 車両前方側に社名表示灯、後方側に防犯灯を設置した例(日産・NV200バネット、西武ハイヤー)
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