議論の経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 15:14 UTC 版)
「明仁から徳仁への皇位継承」の記事における「議論の経過」の解説
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」も参照 ビデオメッセージの公表後、内閣法制局は、天皇の意思で退位することが天皇の地位は「日本国民の総意に基く」と定めた日本国憲法第1条に違反するとして、将来的にも天皇の退位を可能にするにはこの憲法を改正しなければならないと指摘した。一方、明仁1代のみの退位であれば、特例法を定めることで対処できるとした。しかし、退位の制度化に改憲を要するという考えは、憲法学の通説や、政府の今までの見解に反するものだった。日本国憲法第2条には、皇位は「国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定められているので、厳密には皇室典範の改正が必要になるが、特別法で対応するために、単体の特別法の他、皇室典範附則に特別法の根拠を規定したり、皇室典範に含まれる扱いの皇室典範特例法としたりする解決策が出てきた。 一方で、9月23日には、同日付で天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議を設立し、6人を起用したとの発表があった。その後、9月26日に総理・安倍晋三は所信表明演説を行い、有識者会議で天皇の退位に対する検討を行うことを明らかにした。天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議の初回会合は10月17日に行われ、2017年4月21日までに合わせて14回の会合が行われた。2017年1月23日には論点整理がまとめられた。この論点整理では、多数の課題を恒久的な制度化に向けて示しながらも、退位については積極的に認める意見を多く示したため、1代限りの退位を重点的に示したものと解釈された。その後、3月には衆議院と参議院の正副議長により、皇室典範の附則に、特例法が皇室典範と一体を成すことを定めた上で、皇室典範の特例法を制定するのが適当とし、直ちに法案を作成し国会に提出するよう求める、議論の取りまとめが行われた。そして4月21日に公表された最終報告では、明仁の公務の負荷を下げるためにふさわしい対策を行うように政府に求め、この報告は明仁1代限りの特例法を制定して退位の実現を図るよう要求しているものと解釈された。 5月19日に天皇の退位等に関する皇室典範特例法が第3次安倍第2次改造内閣(安倍晋三首相)により閣議決定され、6月1日に衆議院で審議入りし、その日のうちに議院運営委員会で可決された。翌6月2日には衆議院を通過し、6月9日には参議院本会議で、退席した自由党を除く全会一致で可決され、成立した。
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