議論の沿革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 03:15 UTC 版)
2011年11月、フランスの女性がGoogleに対し「過去のヌード写真の消去」を請求して勝訴するという判決が出された。この判決は、世界で初めて「忘れられる権利」を認めたものとして画期的なものであった。 この判決が契機となり、欧州連合では「忘れられる権利」を立法として承認する動きが生まれる。2012年1月、欧州委員会は、EUデータ保護指令に代わる立法として、「EUデータ保護規則案」を提案し、この規則案の第17条で「忘れられる権利」を明文化した。同条では、個人が管理者に対して自らに関する個人データを削除させる権利、当該データのさらなる拡散を停止させる権利、及び、第三者に対して、当該データのあらゆるリンク、コピーまたは複製を削除させる権利が規定されている。 この規則案は2014年3月に、欧州議会の第一読会で修正された。この修正により「忘れられる権利」という文言は条文から削られ、代わりに「消去権(right to erase)」という文言が用いられるようになった。 2014年5月13日、欧州司法裁判所は、検索主体(data subject)は、一定の場合に、検索事業者に対して、検索リストから自己に関する過去の情報の削除を求めることができるとして、「忘れられる権利」を認める先行判決を下した。Google側は「Google検索エンジンは、インターネットで閲覧可能な情報へのリンクを提供しているだけで、情報の削除権限は当該情報を公開する人にのみあり、検索結果の修正は検閲に当たる」と主張したが、欧州司法裁判所は、Googleの主張を認めなかった。 Googleは、この判決を受けて、諮問委員会を設置し、自社の見解について報告書を発表した。報告書では、上記判決の適用範囲が欧州連合に限定されるということが述べられている。 また、削除要請があった際の判断基準について、 データ主体の公的役割 情報の性質(個人のプライバシーへの強い影響,公衆の利益) 情報の出処(source) 時の経過 の4点を考慮すべきことも述べられている。
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