議論の構成要素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 15:52 UTC 版)
「議論の技法」(1958年)でトゥールミンはトゥールミンモデルを含む見取り図を提示している。: 主張:その価値が示された結論。例えば、自分がイギリス市民であることを聞き手を納得させようとするならば、主張は「私はイギリス市民だ」であろう。(1) データ:主張の根拠として提示したい事実。例えば、(1)で紹介された人は自分の主張を「私はバミューダで生まれた」というデータで支持することができる。(2) 正当な理由:データから主張への動きを正式に認める言明。(2)のデータ「私はバミューダで生まれた」から(1)の主張「私はイギリス市民だ」に移行するために、その人は言明「バミューダで生まれたものは法的にはイギリス市民になるだろう」で(1)と(2)の橋渡しとなる正当な理由を与えないといけない。 (3) 裏打ち:正当な理由として述べられたことを証明するために作られる証明書。裏打ちは正当な理由が単独で聞き手・読み手を納得させられなかった場合に紹介されなければいけない。例えば、(3)の正当な理由を信頼できると思わなかった場合、話し手は「バミューダで生まれたものは法的にはイギリス市民になるだろう」が正しいことを示すために裏打ちとして法律の条項を与えるだろう。 反証:主張が合法的に適用される制約を思い起こさせる言明。反証の例は以下。「バミューダに生まれた人は、イギリスを裏切ったり他国のスパイになったりしなければ法的にイギリス市民となる。」 修飾:話し手の主張に関する説得力や確かさの度合いを表す語句。そういった語句として、「ありうる」、「おそらく」、「ありえない」、「確かに」、「思うに」、「証拠を見る限りでは」、 「必ず」がある。「私は確実にイギリス市民だ」という主張は「思うに私はイギリス市民なのだろう」よりも強い説得力の度合いを持つ。 前三つの要素「主張」、「データ」、「正当な理由」は実際の議論において必須要素だと考えられている。一方後三つの「修飾」、「裏打ち」、「反証」は議論によっては要求されないかもしれない。 最初に提示されたとき、この議論過程の見取り図は法的な議論に基づいており、特に法廷で見いだされる議論の合理性を分析するために使われる傾向があった。実際、トゥールミンは、自分の著作がウェイン・ブロックリードおよびダグラス・エーニンガーによって修辞学者に紹介されるまでは、この見取り図が修辞やコミュニケーションに適用できるとは気づいていなかった。彼が「推論の手引き」(1979年)を発表してすぐに、この見取り図の修辞学への適用が彼の著作で言及された。
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