諸外国の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 02:39 UTC 版)
アメリカ合衆国では字幕が嫌われるため、吹き替えが主流となっている。吹き替え、特に日本製アニメ作品の仕事の大半は俳優の労働組合を通さないノン・ユニオン仕事であり、ユニオン仕事であってもギャラが時給60ドル程度と安く、再放送やビデオグラム化された際に再使用料を支払われることもないとされる。労働環境の悪さや技術的な問題から、吹き替えの仕事を嫌っている声優も多いとされる。ジョニー・ヨング・ボッシュによれば2018年の時点では日本アニメのギャラがアメリカのアニメーション作品よりも高額であることもあるとされる。 映画俳優組合が2003年に定めた規定では、吹き替えの仕事は3つのカテゴリーに分けられており、最低労働時間は2時間で一日の労働時間は8時間までと規定されている。報酬は劇場公開用作品は時給84.75ドル。テレビ放送用作品は時給64,25ドルで、複数回出演する場合は1話ごとに21.50ドルの追加報酬が支払われる。それ以外の作品は時給64.25ドルとなっている。2019年にNetflix配信用作品の吹き替えが時給83ドルと規定され、2021年に87ドルに値上げされた。 2022年にSAG-AFTRAの規定が改訂され、吹き替えの報酬は作品に関係なく時給87ドルと決められ、カテゴリーも劇場公開用作品とプライムタイムで放送されるテレビ番組と1500万人以上の会員数の定額制動画配信サービスがカテゴリー1とされ、ギャラの50%にあたる額を再使用料として支払う必要がある。それ以外の作品はカテゴリー2となり、再使用料の支払いは行われない。 英語の吹き替えはアメリカに比べ人件費の安いカナダの会社に制作が委託されることも多い。 香港映画は1980年代までは音声のみ俳優とは別の人物が吹き替えていた。香港の現地語である広東語だけでなく、中国大陸や台湾向けに北京語や香港在住のイギリス人や中国語圏以外の海外向けに英語の吹き替え版を製作している。1990年代以降、演じる俳優本人の声を収録するケースが増えている。 大韓民国では、基本的に声優劇会が一手を担っており、放送局所属だが、フリーランスの声優によって賄っている。また、原語音声と声質がより近い声優を起用している。英語圏諸国を中心とした実写作品は、違う作品であっても吹き替える俳優毎に同じ声優を使い回す傾向にある。日米を中心とした外国製テレビアニメーションは、同じ作品であっても、放映局を変える度に声優陣をひっきりなしに入れ替えている。
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