8,900トン型LST
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 13:51 UTC 版)
「海上自衛隊の航空母艦建造構想」の記事における「8,900トン型LST」の解説
はるな型よりも先に更新時期を迎えたあつみ型(45LST)の後継艦において、まずこの志向が試されることとなった。03中期防で検討された、この平成5年度計画輸送艦では、LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇の母艦機能を備えることにより揚陸能力の大幅向上を実現するとともに、輸送ヘリコプターによる空中機動輸送能力も検討された。ただし当時は空母艦型に対して依然として微妙な空気が残っており、慎重な対応が求められた。 この結果、実際に建造された8,900トン型輸送艦(おおすみ型)では、航空機の収容・整備能力は極めて限定的なものとされ、運用コンセプトとしても、航行しながらヘリコプターを発着艦させる機動揚陸戦ではなく、漂泊ないし錨泊状態での運用による海上作戦輸送方式が前提とされた。しかしそれでも、同型は、自衛艦として初めて全通飛行甲板船型を採用して完成された。諸外国の場合、この規模のドック型揚陸艦では船体前部に大型の上部構造物を作り、ここにヘリコプター格納庫を設置する例がほとんどであり(例外としてイタリアのサン・ジョルジョ級強襲揚陸艦がある)、全通飛行甲板にしたことでかえって航空機運用能力を損なっているとして専門家の批判を受けたが、本型における全通甲板の採用は、来るべきDDH後継艦を強く意識したものであった。 なお本型は、ヘリコプターの発着艦は可能であるが、VTOL機の発着は考慮されておらず、おおすみ型の甲板で多くの航空機を運用するのは無理だとされているが、担当者レベルではおおすみ型にVSTOL機を搭載出来るように真剣に検討したと言われている。1993年10月15日の朝日新聞は防衛庁関係者の証言として、海上自衛隊の大型輸送艦(基準排水量8,900トン)は空母型への大幅な設計変更の結果、イギリスのブリティッシュ・エアロスペースの改造部品「SCADS」により、48時間で飛行甲板を取り付けて軽空母に改造できる構造で設計されていると報じていた。「SCADS」は高熱の噴熱に耐えられる材質の飛行甲板と発着艦時の誘導装置、レーダー、対空ミサイル、管制室がセットになっており、同社のハリアーを売り込むために10年程前から短時間で空母に改造できる部品として各国に紹介していたという。 その後の日米共同演習「ドーン・ブリッツ13」において、アメリカ海兵隊のMV-22Bオスプレイが2番艦「しもきた」に着艦している。また平成26年(2014年)度以降、オスプレイの運用に対応した改修が計画されている。
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