設計 ・建築概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 22:40 UTC 版)
設計者の設計組織ADHが採った「サンプリングとアセンブリー」という設計手法は、真壁地区の複数の伝統的建築物の形状や大きさを詳細に調査・採寸(=サンプリング)し、そこから得た建物から桜川市が今回の計画で求めている施設である"集会施設"、"ホール"、"図書館"、"資料館"といった機能に添うような形状や大きさを持つ建物を選択して、建設予定の敷地内に配置し組み合わせ(=アセンブリー)してゆくというものである。設計組織ADHはこのアセンブリー作業を住民参加のワークショップで練り上げてゆくことを掲げ、この点がプロポーザルで大きく評価された。 実際のワークショップでは、サンプリングした建物の模型に、それぞれ"図書館"、"ホール"等のラベルを付け参加者に渡し、敷地内での最も機能的になる配置の検討などが行われた。そのようなワークショップを3回開催し、「敷地内は東西に抜けられるようにする」、「神武天皇遙拝所脇はオープンスペースとする」等の配置計画の大枠が定められた。また、建設予定地内の陣屋跡地発掘調査も設計と同時に行われており、その成果も設計に取り込まれた。 建物の形状等においては伝統的建築物のサンプリングを採用を重視したが、素材に関しては外壁面を鋼板パネルにしたり、図書館とホールにはパッシブソーラー設備を導入したりする等の先端技術を使っている。外壁を鋼板パネルにすることで、自由な窓配置が可能となった一方、日射熱による温度上昇の問題があった。これへの対処として鋼板パネルには白い遮熱塗料を塗る、東西南の壁を黒茶色の杉板の透かし張りで覆う等の施工がなされた。 このような設計・施工の結果、建物は全体的に高さを押さえた切妻屋根の形態となり、黒い杉板による外壁面と白い鋼板パネルによる外壁面のコントラストが、訪れる人に歴史を感じさせながらもモダンな印象を与える。鋼板パネルの外壁には色々な大きさの窓がつけられており、面白い眺めを楽しませる。庭には陣屋跡地遺構を表示しており、地域の歴史を感じさせながら、回遊性の高い施設配置で、住民の憩いの場、交流の場を提供している。
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