製鉄所と地域住民
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:26 UTC 版)
製鉄所の進出で自分がいわゆる公害病になったと信じる人達にとっては、製鉄所は害悪以外の何者でもない。それ以外の多くの地域住民にとっては、製鉄所は近所にある大きな工場という意識以上のものを持つことは少ない。多くの場合、製鉄所はもともとそこにはない企業のものであり、製鉄所が開設して何十年経とうと、今でも「よそ者」扱いというケースもある。 製鉄所は、公害問題なども意識して、開設当初から地域住民との交流を目的に様々な対応を行っている。製鉄所周辺の寺社を訪問すると、社殿の新築・改築の寄付一覧に製鉄所の名称が記載されていることが多い。公民館・道路照明など、製鉄所が費用を負担している地元インフラは、目立たないながらも多岐に渡っている。 いくつかの製鉄所では、年に一度製鉄所場内を市民に開放しての企業祭を開催している。新日鐵住金八幡製鐵所が1901年より行う起業祭は八幡の名物であり、元子会社のスピナもふくめ地元では八幡としての大規模な行事である。条鋼工場(レール製造)が公開されたり、地元とスピナが共同で北九州市立大谷球場に屋台を出したりする。歌手や子供向け特撮ヒーローのショーや、製造ラインの工場見学などが主な内容だが、大きな祭では公称で10万人以上の来客があり、地元では季節行事としてすっかり定着している。地元企業・取引先企業や近隣市町村の名産品コーナーをはじめとする物販コーナーの充実振りは、広大な産業連関を誇る製鉄所ならではのものである。中にはフリーマーケットやプロ棋士を迎えての将棋大会などを行う製鉄所もあり、かなりの賑わいを見せている。なお、かつては梅小路蒸気機関車館から蒸気機関車を敷地内の線路に回送させて試乗させたり、最近では[いつ?]場内の岸壁から遊覧船で製鉄所見学ツアーを実施したりと、製鉄所のインフラを活用したユニークな企画が時折登場する。 また、製鉄所は主に小学校での企業学習の一環としての工場見学先として重要であり、従来から多くの児童を受け入れていた。特に修学旅行コースに近い製鉄所では、最近では[いつ?]少なくなったものの、かつては毎年5万人以上の児童が見学しており、シーズンになると場内に児童を乗せた観光バスが多数乗り入れていた。今でも多くの製鉄所場内には巨大な見学者受け入れ設備と、見学対応用の専従スタッフが存在する。最近では[いつ?]環境学習の一環として一般市民による見学希望も少しずつ増加しており、製鉄所側も徐々に対応を始めている。 このほか、製鉄所が主催する子供向けスポーツ大会(剣道、サッカー、野球、フットベースボールなど)や吹奏楽演奏会なども各地に存在し、地元では有数の規模を誇るものも多い。製鉄所の敷地を利用した海釣り公園やゴルフ場といった施設も見られ、中には工場に向かってティーショットというコースもある。こうした大会に参加した子供達が、成人して製鉄所に勤務し、今度は自分の子供達がその大会に参加するという世代交代が進んでおり、よそ者と言われ続けた製鉄所がようやく地元に根を下ろしはじめたと評価する地元住民もいる[要出典]。
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