製鉄所と行政
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:26 UTC 版)
今後はおそらくありえないが[独自研究?]、かつて国内に一貫製鉄所を誘致することは、その自治体にとって将来の命運をかけた大事業だった。当時の川崎製鉄が水島製鉄所の建設を決断するにあたって、岡山県と広島県が盛んな誘致合戦を繰り広げたことは有名。 現在においても[いつ?]、地元自治体にとって製鉄所の存在は、行政全般に無視できない存在であることに違いはない。しばしば地元自治体にとって製鉄所は、その最大の収入源である。広大な土地や膨大な設備群にかかる固定資産税は莫大であり、安定した課税対象である。また、好況時には地方法人税も莫大な額になり、鉄鋼業界の景況がそのまま地元自治体の財政に反映することも少なくない(企業城下町)。このほか社員が支払う住民税・所得税などを考慮すると、製鉄所から発生する税収の合計は、しばしば地元自治体の10%を超える。 多くの製鉄所がその自治体から請われる形でその場所に立地したという経緯はあるが、ここ数年[いつ?]いくつかの製鉄所で隠蔽事件が発生しているため、公害行政にとって製鉄所は、常に注意すべき存在である。一方で、近年では[いつ?]製鉄所は様々なゴミの処理設備としての一面も有しており、近隣の自治体にとっては製鉄所の持つインフラをどう活用するかが、環境・ゴミ対策にとって重要な要素となっている。 先述のとおり、製鉄所は工業用水や電力など大量の用役を消費する。製鉄所で調達・整備すべきもの以外は製鉄所を誘致した地元自治体が整備している。特に渇水時においては、製鉄所の稼動を止めないために、自治体と製鉄所が懸命に対策を練る。製鉄所が止まるということは、単に一つの企業の活動が停止するだけではなく、身近なところでは製鉄所由来の地元市民への都市ガス供給も停止するなど、意外な部分で市民生活に重大な影響を及ぼしかねないからである。 また、製鉄所の労働組合の一部は、いわゆる組織内議員を地方議会に進出させており、特にコンビナートが所在する都市においては、他の企業の組織内議員と共に会派を結成して、コンビナート労働者のための政策実現を目指している。
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