製作費と興行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 21:18 UTC 版)
「ボクサー (1977年の映画)」の記事における「製作費と興行」の解説
製作費8000万円。宣伝費1億円は当時の東映通常作品の二倍。 『人間の証明』(角川映画事務所製作・東映配給)は製作費6億7000万円、宣伝費は映画5億4000万円、映画4億円、書籍7億円、書籍5億円、ラジオ2000万円、チラシなどを含めると10億円を越える。東映・東宝と組んで史上最大最強規模と称する配給興行網に乗せ、かつての五社体制は分解して興行網の力が弱まり、映画は今後、企画から上映までフォローする一種のベンチャア・ビジネス化に向かうと評された。『人間の証明』のテレビ・ラジオ合わせたスポットCMの量は『ボクサー』の15倍に及ぶ。『八つ墓村』(松竹洋画系)は製作費3億円、宣伝費2億8000万円は同社の当時の最高額。『幸福の黄色いハンカチ』(松竹邦画系)は製作費8000万円、宣伝費1億円は通常の宣伝費の三倍。東宝は1976年秋の『犬神家の一族』同様、東京都内の洋画系の劇場を他社(東映)に貸して『人間の証明』を上映し、自社で大作を製作せず、『天国と地獄』を入場料800円と他より500円安くする低料金でリバイバル公開し『人間の証明』の余波を最小限に抑える"漁夫の利"作戦に出たため製作費0円、宣伝費5000万円。『ボクサー』は『幸福の黄色いハンカチ』、『天国と地獄』と同じ1977年10月1日に公開。『人間の証明』10月8日、『八つ墓村』10月29日公開。 1976年の10月公開の『犬神家の一族』で邦画界を席巻した角川事務所が、今度は『人間の証明』で再侵略を狙う方針を発表したため、邦画各社は「皇国の興廃、この一戦にあり」と各陣営の作戦本部(宣伝部)は戦意を高揚させた。1977年秋はいい洋画がなく、当時の日本映画は瀕死が伝えられていたため、マスメディアもこれを"邦画十月戦争"、"第二次大戦"などと取り上げ、邦画勢による興行争いを盛り上げてくれた。『ボクサー』はそれほどのヒットは望めないと見なされたが、異色の顔合わせで意欲的な作品でもあり、映画評論家からも「いい映画であってほしい」と切望された。大作を向こうにまわしてまずまずの入りとするものと、『ボクサー』と『天国と地獄』は穴馬的作品といわれたが不発、期待したほどの成績は上がらなかったとするものがある。宣伝担当の関根忠郎は「ギリチョン」と述べている。同時上映だった『地獄の天使 紅い爆音』に出演した内藤やす子が映画公開直前に大麻所持で逮捕され、当時の「芸能界大麻汚染」のスキャンダル報道もあり、動員減に影響したともいわれた。 当時『新幹線大爆破』が海外でよく売れており、ヨーロッパで知名度の高い寺山修司監督の本作と海外で知名度の高い三船敏郎の出演を得られた『日本の首領 野望篇』がヨーロッパを中心に引き合いが多かったことから、欧米を中心に積極的な海外セールスを掛けた。成果については不明。
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