裁判至要抄とは? わかりやすく解説

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裁判至要抄

主名称: 裁判至要抄
指定番号 2462
枝番 00
指定年月日 1990.06.29(平成2.06.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 弘長三年三月十五桑門行賢書写奥書
員数 1巻
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  『裁判至要抄』は建永二年(一二〇七)後鳥羽上皇院宣によって明法家坂上明基【さかのうえあきもと】(一一三八一二一〇)が撰進した法制書で、この陽明文庫本はその弘長三年一二六三)書写奥書有する現在最古本である。
 体裁は旧折本改装した巻子本で、厚手表紙本文同筆で「裁判至要鈔 行賢」の外題がある。料紙楮紙淡墨界(天四罫、地単罫、縦界)を施し本文は「裁判至要抄」の首題についで「一、荒地官司可請開事」以下標目三十三箇条を掲げる。ついで一行空け各条文について該当する律令格式等を引用し、さらに「案之」云々撰者明基の案文記している。文中には本文同筆の墨傍訓、送仮名、返点等が付され、うち六箇条には紙背注記一部後筆カ)が加えられている。巻末には『裁判至要抄』撰述経過伝える明基の奥書と、この本を一見した蔵人葉室宗行坂上明政宛の書状収めた本奥書がみえ、さらに桑門行賢が弘長三年三月十五日に本書書写校合加点した旨の奥書がある。
 所収記事田畠出挙売買相続などいずれも民事裁判条項で、引用文中には戸婚律雑律等の逸文もみえて注目されるが、ことに第十五条処分任財主意事」以下の十九条項は、すべて財産譲与相続に関するもので、本書財産関係の訴訟対応した法制書として意図されたことを示唆している。本書には、現実即した法解釈がみえ、祖父坂上明兼撰になる『法曹至要抄【ほつそうしようしよう】』よりも「御成敗式目」に近い解釈を示すところもあり、本書鎌倉幕府法に少なからず影響与えた中世公家法として中世法史上重要な位置占めている。
 なお、この陽明文庫本は体裁等よりみて、同文所蔵になる重要文化財法曹至要抄」ともと一具の僚巻と認められる
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書跡・典籍:  袈裟印  袖中抄  袖中抄  裁判至要抄  西〓子曇墨蹟  西宮記  西福寺一切経勧進経

裁判至要抄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/02/01 23:22 UTC 版)

裁判至要抄(さいばんしようしょう)は、鎌倉時代初期の承元元年(1207年)に後鳥羽上皇院宣を受けた坂上明基によって編纂された勅撰法律書。全1巻。

概要

民事法を中心として33の事例について、律令格式のからの引用と著者である坂上明基の解釈を記した案文から構成されている。主に出挙相続売買貸借・土地所有・財産譲与などに関して重点的に解説されている。特に相続と財産譲与に19件にわたって記述している。律令格式や祖父坂上明兼が編纂し、明基が校訂したとされる『法曹至要抄』を参考としているが、条文や『法曹至要抄』の解釈とは違う案文を提示している部分もあり、杓子定規的な法文解釈に拘らずに社会の実情に合わせた法解釈を試みている点で評価されている。後鳥羽上皇の院政において訴訟対応への強化が図られ、その一環として明法勘文や実務文書作成のための手本として作成されたと考えられている。坂上明基は鎌倉幕府の依頼を受けて『法曹至要抄』の中の民事関係の記事を抄出して幕府に提出したと言われるなど幕府とのつながりも深く、後世の公家法のみならず、鎌倉幕府の御成敗式目にもその影響が見られ、公家法から武家法への移行過程の研究にも影響を与えている。

参考文献

  • 田中稔「裁判至要抄」(『国史大辞典 6』(吉川弘文館、1985年) ISBN 978-4-642-00506-7
  • 棚橋光男「裁判至要抄」(『日本史大事典 3』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13103-1
  • 上杉和彦「裁判至要抄」(『歴史学事典 9 法と秩序』(弘文堂、2002年) ISBN 978-4-335-21039-6

関連項目



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