被害記録の不存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 18:11 UTC 版)
「占領期日本における強姦」の記事における「被害記録の不存在」の解説
米軍が任意に強姦事件の記録を取っていない理由はいくつかある。一つには県内の女性の多くは、恐怖と羞恥心から報告をせず、仮に報告したとしても軍警察によって無視されたと歴史家らは考察している。このような大規模な犯罪状況の全容を解明する取り組みはいまだされておらず、強姦されたと考えられてる女性の多くは、戦後70年経った現代においても、歴史家や大学研究者はおろか友人たちに対してさえも、公の議論や公式声明を拒否している。沖縄県警察名護警察署の広報担当者は「被害者の女性は公開を恥と考えている」と述べている。 ジョージ・フェイファーは著書『天王山』において、原爆や沖縄戦について記述するほか、沖縄の戦時強姦として10例ほどの報告例があったことを指摘している。彼は報告例の数の少なさの理由として、「恥と不名誉は理由の一部であり、アメリカが勝者となり沖縄県を占領していた事がもう一つの理由である」と述べている。 フェイファーの主張では、「沖縄県には恐らく数千を超える事件があるが、被害者の沈黙は、もう一つの「汚い」占領政策の秘密を生むこととなった。多くの女性が強姦時に受精する事によって必然的に生まれるべきGIベビーたちが世間の明るみに出たことはない。この事実について多くの人が疑問を持っているが、地元歴史家や沖縄の高齢者に対する取材によれば、こうした混血児の多くは村落の助産師の助けを借りて中絶処理されるか誕生直後に殺され、仮に生まれた場合にも羞恥心から座敷牢に匿われて生活することとなった。 ジョージ・フェイファーによる強姦調査の大部分は、侵攻が容易だった沖縄本島北部および中部に集中しており、フェイファーによれば、主に占領任務のために上陸した将兵が強姦を行っていたようである。
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