行政監査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 05:19 UTC 版)
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の記事における「行政監査」の解説
都道府県知事は精神医療審査会により、入院患者らの措置や処遇が適当であるか審査を行わなければならない(38条の5)。不必要と認められたものについては、都道府県知事は退院命令など必要な措置を講じなければならない(同条5項)。 しかし実際には「人権擁護の砦」のはずである、病院に対する行政監察である、精神医療審査会が委員出席数の要件を守らず、審議会を漫然と開催していた問題が発覚し、精神医療審議会の機能は「形骸化している」と批判が挙がっている。 この問題の発覚を受けて、厚生労働省が地方公共団体に実態を照会したところ、記録が残っている2011年(平成23年)から2017年(平成29年)まで、都道府県では、北海道・岩手県・秋田県・栃木県・埼玉県・岐阜県・三重県・滋賀県・鳥取県・徳島県・香川県の12道県が、政令指定都市では、さいたま市・相模原市・広島市・福岡市の4市で、委員の出席者数に関する法令要件を満たさずに、精神医療審査会が開催された事例が判明している。 都道府県知事は、入院患者らの措置が不適当であった場合は、病院管理者に対し改善計画の提出を求め、また必要な措置を取ることができる(38条の7)。これらの命令に従わない場合、厚生労働大臣や都道府県知事は、入院医療の全部または一部の制限命令ができる(同条4項)。 命令発動例としては以下がある。 2001年 朝倉病院(埼玉県、新規患者受入停止命令) 2011年 倉敷森下病院(岡山県、新規患者受入停止命令) 2013年に、国際連合人権理事会は日本に対し、精神障害者の非常に大勢が自らの意思に反して長期間に渡って社会的入院されていることや、身体拘束と隔離が過剰に用いられていることを警告し、日本は、全ての精神科病院を訪問監査する独立組織を立ち上げること、また外来ケアとコミュニティケアを充実させ、入院患者数を削減(脱施設化)するよう勧告している。 「日本の精神保健#精神科病院における身体拘束・人権侵害」も参照 生活保護における医療扶助は生活保護費の半分を占め、うち医科の入院医療費が全体の55.7%(2013年)と大きく、医療扶助による入院患者は、1か月平均の42.9%が精神障害であり多数となっている。人数では7.1%入院患者に、医療扶助費全体の55%余が使われている。日本は、世界でも突出して精神科のベッド数、入院患者数が多い国であり、長期入院が生活保護費を上昇させている。
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