花関索の伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 03:04 UTC 版)
詳細は「花関索伝」を参照 現存する『演義』の刊本の種類によっては、中盤もしくは後半で関索なる人物が突然登場するものがある。この人物は関羽の子だとするが、関羽の子として史書には載るのは関平(『演義』では養子とする)や関興のみであり、関索はいずれの史書にも見あたらない架空の人物である(後述)。 関索が登場する刊本も、その登場箇所には全く異なる2種類の系統がある。一つは関索を関羽の第三子とするもので、関羽死後の諸葛孔明による南蛮征伐中に、突然登場して自らの生い立ちを語り、たいした活躍もなく、いつの間にか物語から消えてしまう。この系統では父関羽と同時には登場しない。もう一つは荊州攻略中の関羽の下に、花関索という若者が現れ、生い立ちをやや詳しく語る。その後、花関索は孔明の入蜀に従軍して活躍するが、後に関興が「兄が雲南で病死した」と語る形で物語から退場する。こちらの系統では関興が兄と呼ぶので関羽の第二子ということになる。なぜこのように異なる2系統の関索が登場するのか、『平話』や雑劇にもほとんど関索が登場していないため、長らく謎の人物となっていた。 ところが1967年上海市嘉定区の明代の墳墓から、成化年間(1465年 - 1487年)に北平(現北京市)の永順堂という書店が刊行した『花関索伝』という書物が発掘されたことで、元・明代に流布していた関索伝説の全貌が明らかとなった。『花関索伝』は『平話』を上回る荒唐無稽な物語であり、劉備はもちろん諸葛亮や張飛、父である関羽すら押しのけ、ひたすら関索(花関索)のみが大活躍する小説である。入蜀や荊州争奪など三国説話に基づく話もあるが、人物関係や事件の順番などについては『平話』以上にでたらめで、中には『水滸伝』のような盗賊や『西遊記』で現れるような妖怪まで登場する。『平話』と同様、上図下文小説の体裁をとっており、中には『平話』と同じ絵柄の挿絵もある。 関索説話は『演義』の形成とは別に発展したらしいが、『演義』成立後に様々な書店や編者の手で物語に挿入されたため、異なる系統の関索像が取り込まれることとなった。近年では逆に、関索物語の有無や内容によって、各刊本の系統関係が推測されるようになった(後述)。
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