花関索伝の体裁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/23 00:23 UTC 版)
出土した『花関索伝』は、明代の全相本と同様に、各ページの上部3分の1程度が名場面を絵画化した挿絵であり、その下部に文章を載せている。各葉(葉は1枚=2ページ)または半葉ごとに小題一行が掲げられている。この形式は元末の建安虞氏が刊行した『三国志平話』などの平話シリーズとよく似ており、なかには全く同じ図柄の挿絵まである(詳細は三国志平話を参照)。「前集」「後集」「続集」「別集」などの題の付け方も平話シリーズの『七国春秋後集』『前漢書続集』と共通する。なお各集はすべて11葉から成る。また誤字・脱字・錯簡などが多く、小題と文章の内容が合致していない例も少なくない。また後集の第1葉では、各行の下段がすべて1行ずつずれているなどの珍しいタイプの印刷ミスが見られ、これは筆写の段階ではなく翻刻・覆刻の段階での作業ミスと考えられることから、この書が重版されていたことが伺える。 ただし重刻された版が明代のものであることは上記の通りだが、題材となった花関索の物語自体の成立は元末であったと考えられる。『花関索伝』の中に含まれる逸話には『平話』や元代雑劇と共通する部分も多く、互いに影響を及ぼしている可能性が高いため、元代に話が成立していたことは間違いない。しかし『平話』や雑劇にほとんど関索が登場しない事は謎のままであり、『花関索伝』の成立自体は、『平話』より後とみられる。
※この「花関索伝の体裁」の解説は、「花関索伝」の解説の一部です。
「花関索伝の体裁」を含む「花関索伝」の記事については、「花関索伝」の概要を参照ください。
- 花関索伝の体裁のページへのリンク