舟歌とフォーレとは? わかりやすく解説

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舟歌とフォーレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 16:27 UTC 版)

舟歌 (フォーレ)」の記事における「舟歌とフォーレ」の解説

舟歌とはヴェネツィアゴンドラ漕ぎの歌に由来する声楽曲または器楽曲で、ピアノ曲では夜想曲幻想曲即興曲と並ぶ標題のひとつとなっている。多く6/8拍子や12/8拍子複合拍子をとり、優しくゆったりとしたリズムの上メロディー乗せ、河や海を漕ぎゆく舟と揺れ動く波の雰囲気表わす声楽曲ではシューベルトの歌曲が有名であり、ウェーバーロッシーニオッフェンバックらのオペラ作品にも舟歌様式を持つ音楽用いられた。器楽曲では、ショパンメンデルスゾーンチャイコフスキーラフマニノフらのピアノ作品がある。 こうした中で、ピアノのためにもっとも多く優れた舟歌作曲したのがフォーレである。フォーレ舟歌は、同様に13書かれ夜想曲とともに彼の音楽活動ほぼすべての期間を通じて作曲されている。これらはフランス音楽史において、19世紀後半ロマン派後期から20世紀近代主義へと移行する時代書かれた。フォーレまた、声楽作品分野でもマルク・モニエの詩を用いた歌曲舟歌作品7-31873年ごろ)やポール・ヴェルレーヌの詩による『ヴェネツィア5つ歌曲』(1891年)など舟歌様式用いた作品残している。 フォーレ実際にヴェネツィア訪れたのは舟歌第4番まで作曲後の1891年であるが、1881年書かれ舟歌第1番のみならず、すでに述べたように創作最初期歌曲から早くも舟歌様式上の特徴現れていることから、20世紀日本音楽評論家美山良夫は「舟歌様式フォーレにとって最も日常的な世界であり、『舟歌』こそ人間フォーレ体現している」と述べている。 フォーレ音楽にしばしば舟歌要素見られることについては、フランス哲学者ウラジミール・ジャンケレヴィッチ1903年 - 1985年)も複合拍子多用という点で舟歌側面フォーレ作品具わっている指摘している。ジャンケレヴィッチによればフォーレ作品の「舟歌的」側面は「夜想曲的」側面と「子守歌的」側面とともに唯一の安らぎについての三つ様相言い表したものであり、したがってフォーレ作品においては、曲に付けられた題名からジャンル分野明確に限定することは困難である。 ジャンケレヴィッチはさらに、フォーレ歌曲集イヴの歌』(シャルル・ファン・レルベルグの詩による)から「生命の水」(第6曲)や古代ギリシア哲学者タレス言葉とされる万物から生まれ帰る」を引用しつつ、次のように述べている。 「フォーレは、13曲の舟歌において、水の流れを扱うその優れた手腕通じて原初の泉と原始大洋とを結ぶ、すなわち、アルファからオメガへと移行してゆくような重要な大河表現しようとしていたのではあるまいか。」 — ウラディミール・ジャンケレヴィッチ

※この「舟歌とフォーレ」の解説は、「舟歌 (フォーレ)」の解説の一部です。
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