ままこ‐いじめ〔‐いぢめ〕【▽継子▽苛め】
読み方:ままこいじめ
継子をいじめること。
継子いじめ
『姥皮』(御伽草子) 継母に憎まれ虐待された姫君は、尾張岩倉の甚目寺観音に参籠して姥皮をたまわり、これを着て火焚き姥となる。
『落窪物語』巻1~2 継母が、姫君を寝殿の放出(はなちいで)の床が落ち窪んだ所に住まわせ、「落窪の君」と呼ぶ。継母は姫君に裁縫の仕事をさせてこき使い、また、何かと口実をもうけては、姫君所持の屏風や食器や鏡箱などを取り上げる。姫君は道頼少将(後に太政大臣)と結婚するが、これを知った継母は、60歳ほどの典薬の助に姫君を犯すようそそのかす。しかし、危ういところで道頼少将は姫君を救い出し、自分の屋敷に迎え取る。
『住吉物語』 四位少将が、中納言の姫君に恋文を送る。しかし継母が四位少将をあざむき、姫君ではなく、自分の実子・三の君と結婚させてしまう。その後も継母は、70歳余の主計頭(主計助とする伝本もある)に姫君を与えようとたくらんだりするので、晩秋の夜、姫君は屋敷を出て住吉に身を隠す。翌年秋、夢告によって四位少将(後に関白)は住吉へ行き、姫君と再会、結婚する。
『灰かぶり』(グリム)KHM21 「灰かぶり(シンデレラ)」は、継母とその連れ子の姉妹にいじめられ、水運びや洗濯などの仕事を1日中させられる。夜もベッドへ入れず、竃のそばの灰の中へ寝なければならない。しかし後に彼女は王子と結婚し、姉妹は鳩に目をつつき出されて盲目になった〔*『サンドリヨン』(ペロー)では、サンドリヨンは姉妹を許し、貴族と結婚させる〕。
『鉢かづき』(御伽草子) 鉢かづきが13歳の時に母が病死し、以後彼女は継母にいじめられる。鉢かづきは、亡母の墓前で「早く母上のもとへ行きたい」と泣く。継母は、「鉢かづき姫が亡母の墓へ参り、殿や私達を呪っている」と讒言し、父備中守さねたかは、それを信じて鉢かづきを家から追い出す。
『花世の姫』(御伽草子) 花世の姫は、父の留守中、継母のために姥ガ峰の奥の谷に捨てられる。山姥が、姫に小袋と富士大菩薩の御前の花米と姥衣を与える。姫は姥衣を着て火焚き姥になる。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第1日第6話 ゼゾッラは裁縫の女先生にそそのかされ、継母を殺す。ところが今度は、女先生が父の後妻つまり新たな継母となって、ゼゾッラを台所でこきつかう。妖精の援助で、ゼゾッラは美しい衣装でお祭りに出かけ、王様に見そめられる。帰り際に木履が片方脱げ、それが証拠となってゼゾッラは王様と結婚する。
『不如帰』(徳冨蘆花) 片岡浪子は8歳で母を失い、1年後に継母繁子が嫁いでくる。繁子は英国留学帰りの男まさりの性格で、浪子に辛くあたる。浪子は18歳で川島武男と結婚し、ようやく幸福を得る。しかし今度は姑にいじめられる→〔嫁〕2a。
『酉陽雑俎』続集巻1-875 葉限(しょうげん)は継母にいじめられ、かわいがっていた魚も継母のために殺される。葉限は、殺された魚の骨に祈って衣装・宝玉などを得る。彼女は祭りに出かけ、金の履を片方落としたことがきっかけで、陀汗国王の妻となる。
『木幡の時雨』 故奈良兵部卿右衛門督の北の方は、夫との間にもうけた1男3女のうち、中の君の乳母が夫と関係があったために、中の君を嫌う。北の方は、中の君と恋人中納言との仲を裂き、彼女を石山へ追いやる。
『松山鏡』(昔話) 越後国の松山には、鏡がなかった。父が都で鏡を買って来て、母に与える。何年か後、病いを得た母は、鏡を形見として娘に与え、「これを見れば私に逢える」と言い遺す。娘は自室で鏡を見て、そこに映る自分の顔を亡母と思って懐かしむ。継母が「娘が部屋にこもって私を呪っている」と誤解し、父に訴える。父は娘に「鏡に映ったのは汝自身の顔」と教え、継母は自分の邪推を詫びて、継母と娘は和解する。
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